河北春秋(12/30):福島県会津地方では、よそ者が三度泣かされ…

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 福島県会津地方では、よそ者が三度泣かされるという。雪の多さと閉鎖的な気風に泣き、生活に慣れると会津人の温かさに触れて再び泣く。そして会津を去る際、人々の情の深さを忘れられずに涙を流す▼「会津の三泣き」と呼ばれる。今それを実感するのは、東京電力福島第1原発事故で会津若松市に避難している大熊町民。来春、町の一部で避難指示解除が見込まれ、ようやく帰還への一歩を踏み出す▼その節目を前に、避難町民の語り部グループ「おおくま町物語伝承の会」は、受け入れてくれた会津若松市に感謝を込めて、市内で紙芝居や踊りなどを披露した。会津愛に満ちた舞台は原発事故で古里を追われた理不尽さも重なり、多くの観客が目を潤ませた▼「避難先のホテルで体の不自由な私を助けてもらった」「ご近所の農家からジャガイモを頂いた」「負けるな大熊のスローガンを掲げ、盆踊りをしていただいた」。パンフレットには避難町民100人に聞いた感謝のエピソードが並ぶ。加えて会津の見どころ、おいしい物も紹介する▼「風評被害が続く中で、会津の良さをPRするのも自分たちにできる恩返し」と、伝承の会代表の橘秀人さん(69)。東京公演は来年1月24日。会津公演とはちょっと違った思いで、メンバーは舞台に立つ。(2018.12.30)