谷川俊太郎×工藤直子「詩人にとって知性は邪魔」その理由は…

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J-WAVEで放送中の番組『RADIO SWITCH』。この番組は【Listen to the Magazine, Reading the Radio 雑誌を聴く、ラジオを読む。】をコンセプトに、カルチャーマガジン『SWITCH』、旅の雑誌『Coyote』、新しい文芸誌『MONKEY』の3つの雑誌とゆるやかに連動しながらお送りしています。

12月29日(土)のオンエアでは、『SWITCH』編集長・新井敏記さんを進行役に、詩人の谷川俊太郎さんと詩人で童話作家の工藤直子さんのスペシャル対談の模様をお送りしました。

■ 谷川「自分の値打ちが全然わからなかった」

工藤さんが谷川さんを知ったのは大学生の頃。1952年に出版された詩集『二十億光年の孤独』がきっかけだったと振り返ります。

谷川:みんなドラマチックに思うらしいんだよね。題名が題名だから。
工藤:でも、茨木のり子さんが「詩を書いても1000部刷って、それが2、3年残ってるのよ」って言うくらいの時代で、超有名な人でも残ってたのに、谷川さんのだけは残らずに売れていたんですよ。
谷川:『二十億光年の孤独』は再販されたからびっくりした記憶がある。当時はそんなことはあまりなかったからね。
工藤:あれは、詩を好きな少年少女がみんなぶっ飛びましたね。

有名になると週刊誌で取り上げられたりしますが、当時はそういったことはなく、「自分の値打ちが全然わからなかった」と谷川さんは話します。

オンエアでは、工藤さん自身の詩から『葬式』、谷川さんの『さようなら』をそれぞれ朗読しました。ぜひradikoでお聴きください。

谷川俊太郎×工藤直子

■詩人に自由と知性は不要?

谷川さんは最近、詩を書くことがおもしろくなってきたとも明かします。

谷川:いろいろ違う書き方で楽しんではいるんだけど、考えてみるとやっぱり中年の頃の詩が一番良いね。『旅』とか『わたし』を読み返してみるとね、これはなかなか悪くないなと思って。今は余裕がありすぎて、真剣じゃないね、詩を書くのが。
工藤:なるほどね。
新井:そのよさっていうのは、具体的になんですか?
谷川:詩人のモラルがある。

当時の谷川さんの詩には「緊張感がある」と工藤さん。谷川さんも、当時は人間関係のことを考えながら書いていたと振り返ります。それが今は、そうしたことを考えず自由に書くため、「自由は詩を書くにはよくない面がある」とも。

工藤:きっとそうだと思います。書くためには何かの力や理由が必要だもん。
谷川:だけど俺は、良寛さんとか、そういうのに憧れてるからね。なんかほわんとしたものを書きたいんです。
工藤:じゃあ、そっちに向かってるんだ?
谷川:それがなんかね、知性が邪魔をしちゃってダメなんですよ。
工藤:私にもちょっぴり持ち合わせの知性があるけど、本当にないほうがいいと思ってる。
谷川:ね。詩人にとって知性って邪魔だよね。
工藤:音楽とか絵とか、そういうのとは違って、言葉ってもとに理屈が入ってるじゃん。
谷川:言葉・言語は意味で成り立ってるからね。音も絵も意味がないじゃん。それが素晴らしいんですよね。
工藤:意味がないのを書いたら「バカか」って言われるね、きっと(笑)。
谷川:意味のないもので、なおかついいものっていうのは、「存在」ってものになるわけ。「存在」ってものは意味がなくて、「あるだけ」っていうのが一番いいんですよ。

深い言葉で溢れた今回の対談。ふたりの詩への捉え方を知った今、彼らの作品を読み返すと、新たな印象や発見があるかもしれません。

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【番組情報】
番組名:『RADIO SWITCH』
放送日時:毎週土曜23時−24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/radioswitch/about.html

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