主な出来事 平成21(2009)年

 8月の衆院選で民主党を中心とする連立政権が発足し、政治の新しい時代が幕を開けた。自民党政権時代に進められた本県関係の事業も先行きが不透明になっている。
 今年は悲しい事故が相次いだ。4月には平戸市沖で巻き網漁船、第11大栄丸が沈没。11人が死亡、1人が行方不明となった。11月には雲仙市の同級生グループ9人が韓国釜山市の室内射撃場で火災に巻き込まれ、8人が死亡、1人が重傷を負った。
 新型インフルエンザは本県でも感染が広がり、死者も出た。修学旅行などのキャンセルで観光業界に影響が出たほか、小中高校では休校や学級閉鎖などが相次いだ。
 昨年からの不景気で、経済は立ち直りが進まなかった。佐世保市のハウステンボスは入場者数の低迷で経営が悪化。九州財界は主体的支援を断念したが、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が検討している。本県だけでなく、九州観光の一翼を担う存在だけに復活が望まれる。
 司法の場にも新しい時代が到来。裁判員制度が始まり、本県では11月に最初の裁判員裁判が長崎地裁で開かれた。一方、福岡高裁は9月、07年4月に伊藤一長前長崎市長を射殺した元暴力団幹部、城尾哲彌被告に対し、一審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。
 スポーツ面では明るい話題もあった。春の第81回選抜高校野球大会で清峰が優勝。本県勢が春、夏通じて初めて全国制覇を果たした。体操では諫早市出身の内村航平選手が10月の世界選手権個人総合で金メダルを獲得した。
 2000年代も10年が過ぎ、新たな10年が始まろうとしている。1月3日には大河ドラマ「龍馬伝」の放送が始まり、本県観光の起爆剤として期待が寄せられている。2月には県の新しいリーダーを決める知事選が行われる。現在6人が立候補を表明し乱立模様。県民は誰に新しい時代のかじ取りを託すのか注目される。

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