レクサス 新型ES 実燃費レポート | 日本へ新たに投入された大型FFセダン、燃費の実力は!?

レクサス ES

レクサス最新ハイブリッドセダンの実燃費を検証

LEXUS、新型「ES」を発売

今回の燃費テストに持ち出したのは、今年10月に日本市場には初導入となったレクサスのアッパーミドルクラスセダンであるESだ。日本市場には初導入となるが、実は北米市場ではLSとともに1989年の開業当初からラインナップされている車種であり、レクサスブランドの最量販車種のひとつともなっている。

といっても、初代~4代目モデルは日本でも同一車種が販売されていた。初代はトヨタ カムリプロミネントとして、2代目から4代目モデルはトヨタ ウィンダムとしてラインナップされていたことをご存知の方も多いだろう。

そんなESは現行のレクサスラインナップの中ではISとGSの間を埋める車種となっており、どちらかというとスポーティさよりもラグジュアリー感を重視した落ち着いた佇まいを持ったモデルとなっている。日本市場では2017年末まで販売されていたレクサスHSの後釜というポジションも担っていると言えそうだ。

日本国外ではV6 3.5リッターガソリンエンジンなどのラインナップも持つESではあるが、現状日本仕様でリリースされているのは直列4気筒2.5リッターのA25A-FKS型エンジンに3NM型モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載した「300h」のみ。グレード展開は「300h」、「300h version L」、「300h F SPORT」の3グレードとなっている。

◆ESの内外装を見る

起用グレード

レクサス ES

今回のテストに使用した300hは、上級グレードに位置するversion L。と言っても、グレードによってエンジン出力に違いがあるわけではなく、カタログ燃費もすべてのグレードで共通の数字となっている。厳密にいえば標準仕様が他グレードに比べ40~50kg軽く、17インチの215サイズのタイヤを履いているため実燃費に差が出る可能性はあるが、誤差の範囲と言ってもいいレベルだということだろう。

なお、今回のテスト車両は世界初採用となったデジタルアウターミラーも装着されていた。燃費と関係ない部分ではあるものの、そのチャレンジ精神は評価したいところ。ただちょっと先に行き過ぎてしまった感は否めなかった。

燃費テスト概要

燃費測定は12月20日に実施。天候は晴れだったものの、最高気温は15度程度でのテストとなった。テストコースは、朝10時ごろに青山にあるオートックワン編集部を出発した後、高速、郊外路、市街地・街乗りの順で走行。16時ごろに再びオートックワン編集部へ戻るルートを選択した。

燃費の数値は車両の燃費計を使用し、総合燃費のみ各セクションの数値を元に計算したものとなっている。エアコンは24度設定のフルオートで、走行モードはECO、パドルシフトを使っての変速はせず全域でDレンジで走行し、クルーズコントロールは未使用としている。

レクサス 新型ESの総合実燃費は…?

レクサス 新型ESの総合実燃費は22.97km/L

レクサス ES

結論から言うとトータルで159.9kmを走行し、全行程を走り切ったトータルの燃費は22.97km/Lとなった(セクション燃費から計算した数値)。WLTCモード燃費の数値は20.6km/Lということで、カタログ燃費を超える数値となった。1.7トンを超える車重のクルマとしてはかなり優秀な数値と言えるだろう。

このクラスの車両を購入する人には大きな問題ではないかもしれないが、レギュラーガソリン仕様というのも見逃せない点だ。なおJC08モード燃費だと23.4km/Lであり、やはりJC08モード燃費は実燃費との乖離があるという印象だ。

それではここからは走行シーンごとの燃費や走りっぷりなどをお伝えしていこう。

レクサス ES

レクサス 新型ES 実燃費レポート | 市街地編

レクサス 新型ES 市街地・街乗りでの実燃費 21.0km/L

市街地走行はハイブリッド車の得意分野。一番燃料を消費する発進加速時はモーターがアシストしてくれるし、渋滞中はアイドリングストップで無駄な燃料も消費しないので、これらがない車種に比べて燃費の悪化を最小限に抑えてくれる。

ということで、市街地走行での実燃費は53.6kmを走行して21.0km/Lという結果。WLTC市街地モードの数値は16.6km/Lだから、カタログ燃費を大きく超える数値となった。

また取り回しに関して、新型ESは1865mmも全幅があることから狭い市街地では気を遣うかな、と思っていたのだが、思いのほか見切りがよく、特にヒヤっとすることもなかった。この辺りはさすがレクサスといったところだろう。

また、世界初採用となったボディの微小な動きにも応答するスウィングバルブショックアブソーバーの効果か、荒れた路面でも小刻みに体を揺さぶられるようなことがなかったことも付け加えておきたい。

レクサス 新型ES 実燃費レポート | 郊外路編

レクサス ES

レクサス 新型ES 郊外路での実燃費 23.8km/L

郊外路は走行車両も信号も少ないため、一定のペースで走行できるシーン。今回は28.7kmの走行で、メーター上の燃費数値は23.8km/Lとなった。WLTC郊外モード燃費は22.7km/Lということで、カタログ燃費に近い数値となっている。

ES自体はそれほどスポーティ方向に振った味付けのクルマではないものの、TNGAのGA-Kプラットフォームを新採用したことで非常に素直なハンドリングを実現している。そのため、強く意識しなければ前輪駆動であることを忘れてしまうほど軽快な走りを楽しむことができた。

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レクサス 新型ES 実燃費レポート | 高速道路編

レクサス 新型ES 高速道路での実燃費 24.2km/L

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最後は高速道路を通るルートを振り返る。今回は芝公園出入り口から首都高に乗り、東京湾アクアラインを経由して圏央道の茂原長南インターで下りるルートを走行し、走行距離は77.5kmとなった。

年末も押し迫った時期ということもあったのか、やや交通量が多い状態ではあったが渋滞になるほどではなく、若干アベレージスピードが落ちたかな? といった程度であった。その結果、メーター上の燃費は24.2km/Lと、WLTC高速モード燃費の21.4km/Lを大きく超える数値となった。実はWLTCモード燃費で見ると高速モードよりも郊外モードの方がよい数値となっているのだが、今回は若干アベレージスピードが落ちたことが功を奏したのかもしれない。

ちなみに、version Lにはホイールにレゾネータ機能を持つ空洞部を設けることでタイヤから伝わるロードノイズの大幅な低減を実現したノイズリダクションホイールが装着されており、これが高速道路の継ぎ目などで耳にするパコーンという音を低減してくれるので、高速クルージングの快適性がワンランクアップしていた。

レクサス 新型ES 実燃費レポート | 総合実燃費編

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レクサス 新型ES 総合実燃費 22.97km/L

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今回のES燃費テストは、街乗り・郊外路・高速道路と合わせて159.9kmを走った結果、総合実燃費は22.97km/Lとなり、WLTCモード燃費の20.6km/Lを大きく超える結果となった。このクラスでトータル20km/Lを超える数値というのは優秀と言える。

エンジンは2.5リッター+モーターということで、絶対的な速さはないものの、ゆったりと落ち着いて流すという走りにおいては過不足ないスペックだろう。

レクサス ESはトヨタ カムリと同じエンジン+モーターを搭載し、プラットフォームも同様のGA-Kプラットフォームを採用しているため、カムリのレクサス版と思われるかもしれないが、実はホイールベースの数値からして異なっており、当然のように全く異なるクルマとなっている。もちろん、車両価格が1.5~2倍近く違うのだから当然なのではあるのだが……。

[筆者:小鮒 康一 / 撮影:茂呂 幸正・小鮒 康一]

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