頂点まであと4秒 MHPS 過去最高2位 ニューイヤー駅伝 王者とラスト勝負 惜敗

 第63回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースで行われ、長崎県のMHPSは4時間51分31秒で県勢過去最高の2位に入った。入賞は2017年の4位、18年の8位に続き、3年連続。
 1区的野が首位と8秒差の11位スタート。2区オムワンバ、3区目良で9位まで順位を上げると、4区井上が区間賞の走りで一気にトップに浮上した。5区定方は区間3位、6区木滑も区間9位で粘り、トップと2秒差で最終7区へ。たすきを受けた岩田は最終盤まで旭化成と首位争いを繰り広げたが、ラスト勝負の末に4秒差で競り負けた。
 旭化成は4時間51分27秒でV3を達成し、歴代最多の優勝回数を24に伸ばした。2区までに8位とやや出遅れたが、3区鎧坂、6区市田宏の区間賞でトップに立ち、アンカー対決を制した。トヨタ自動車が4時間52分34秒で3位だった。

◎4区井上8人抜き区間賞
 全長100キロの上州路は、ラスト100メートルまでもつれる名勝負になった。王者旭化成とデッドヒートを演じたMHPS。平成最後の大会で鮮烈なインパクトを残し、4区区間賞の井上は「それぞれが出せるだけの力を出した」と実感を込める。トップとの差は、わずか4秒だった。
 前半で上位につけ、井上で一気に逆転-。プラン通りにレースは進んだ。首位と1分1秒差の9位で受けた井上はエース区間で8人をごぼう抜き。中間地点でトップに立つと、涼しげな表情のまま後続を30秒以上引き離した。
 快進撃はさらに続く。ライバルチームに劣るとみられていた5~7区の3人が、そろって区間一桁の力走。中でも5年ぶりにメンバー入りした7区岩田は、旭化成が擁する1万メートル日本王者を最後まで苦しめた。
 これで3年連続入賞。「3強」に挙げられていた旭化成、富士通、トヨタ自動車のようなエリート選手がいない中、上位常連の仲間入りを果たしたのは胸を張れる。井上がマラソンで結果を出し、引っ張られるようにチームメートが力をつける。そうして少しずつ底上げが進んでいった。
 一方で頂点への明確な課題も見つかった。黒木監督が「優勝が目標だったMHPSと、優勝が使命の旭化成ではたすきの重みが違った」と言えば、井上も「まだがっつりした気持ちが足りない」と認める。わずかに見えて大きい「4秒」。埋めるための1年が始まった。

第3中継所。MHPSの3区目良(左)からたすきを受けて走りだす4区井上。井上は区間賞を獲得した=群馬県伊勢崎市役所前
ゴールに飛び込むMHPSの岩田=群馬県庁前

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