日系企業の米進出

共に米国生まれで弁護士の小林剛さんと、安田デビン龍さんが「日系企業の米進出」をテーマに語り合った。

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共に米国生まれで弁護士の小林剛さんと、安田デビン龍さんが「日系企業の米進出」をテーマに語り合った。

お二人は共に米国生まれで日本も長いのですね。

小林 はい。私は父親の転勤の関係で生まれはニューヨークです。9歳から日本で、大学卒業後に再び米国に戻りました。今はハワイに事務所を構えています。
安田 私は逆に、生まれたのがハワイで今はニューヨーク勤務です。
小林 出生地と現勤務地がクロスしてるんだよね。

いつお知り合いに?

小林 2010年ごろ、ハワイの共通の知人を通じて出会いました。ハワイに詳しいデビンと打ち解け、酒を酌み交わしたりしているうちに、「いつか一緒に仕事ができたらいいね」なんて、その時は冗談で話していました。
安田 まさか本当になるとはね(笑)。

もともとどちらで働いていたのですか?

小林 私は独立前に入った弁護士事務所は勤務地がハワイか東京の選択肢しかなく、半ば渋々ハワイを選びました(笑)。「いずれニューヨークに戻ってやるぞ」との気概でいましたから。まあ、それが縁でデビンとも会えたんだけど。
安田 私は11年に米国のロースクールを出て、ニューヨークの法律事務所に入りました。経験を積んで5年ほど過ぎた頃、既に独立していた剛さんから声が掛かった。「ニューヨークに拡張したいんだ」と。それで意気投合して昨年、昔の冗談が現実になったんです。

事業はどうですか。

小林 順調な滑り出しです。既存顧客のネットワークで案件が増えています。
安田 今後メンバーも充実させ、対応できる案件を増やしていきたいですね。
小林 今は企業法弁護士として個人のお客さまに対応している他、企業の皆さまには特にビザ関係のお悩みなどをよく伺います。
 日米で法文化、企業文化が違うので、戸惑われるようです。例えば、日本では大体の企業が弁護士と顧問契約を結びますが、米国は違ってて困る、とか。
安田 他にも、米国の場合、弁護士への相談費用は時間単位が主ですが、日本企業は案件ごとに固定単価を望む傾向があります。
小林 その点、私たちは日米どちらのバックグラウンドも持つ者として、両国の文化や慣習を理解し、サービスを提供できる点で差別化できていると思います。

なぜ弁護士に?

安田 私は小学4年の時にバスケットのマイケル・ジョーダンが全盛期で、憧れていました。「いつか米国で活躍する日本人が出てくる」と思い、代理人交渉に臨む日系弁護士が必要だと感じて志しました。
小林 大それた動機はないです(笑)。日本で暮らす中で、「いつか米国に戻りたい」という思いがずっとあり、米国のロースクールに進みました。ハワイで働き出した当初は慣れませんでしたが、ハワイに日本人弁護士が少なかったこともあり、お客さまに喜ばれて段々とやりがいを感じましたね。

休日の過ごし方は?
安田 正直あまり取れていないですね(笑)。ただ、趣味のバスケットとか仕事をしていない時間をあえて作るようにしています。
小林 私も忙しさはありますが、家族と過ごす時間を大切にしています。自称「ファミリー・マン」です。

今後の目標を。

安田 当初抱いていた夢の通り、スポーツや芸能分野で活躍する日本人の米国進出をサポートするような業務をもっと増やしていきたいですね。

小林 そうだね。目指すはワンストップで、顧客の悩み事を丸ごと解決できる事務所。労務や移民法、不動産など多岐にわたってたらい回しにされそうな相談も、一手に引き受けて便利だと思ってもらいたい。
安田 剛さん、他にもあるでしょう。野望が。西海岸にも進出したいって。
小林 その話はまたにしよう(笑)。

小林剛(ごう)

ハワイ州弁護士。ニューヨークで生まれ、9〜22歳は日本で育ち、青山学院大文学部卒、チューレーン大法科大学院卒。07年にハワイの法律事務所に入り、13年にハワイでGO法律事務所設立。専門のM&Aや商法、移民法の他、カバー範囲は多岐。妻子とハワイ在住。www.golaw-hi.com

安田デビン龍

ニューヨーク州弁護士。日本人の父、日系米国人の母のもとにハワイなどで育ち、慶応義塾大法学部卒、ミシガン州立大法科大学院卒。17年に小林氏とD5法律事務所をニューヨークに設立。当地で活動中か進出検討中の日系企業や個人を幅広くサポート。妻子と市内在住。www.d5law.com