スズキ スペーシアギア 試乗│パッケージだけじゃない!走りだってしっかり楽しいスズキの新しいSUV風モデル

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

ジムニーやハスラーを生んだ“SUVのスズキ”が新たに送る「軽ハイトワゴン+SUV」のクロスオーバー

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

まさに「本領発揮」という感じ!

こういうクロカン系に関してのスズキの作り込みの巧さには、どうしたって拍手喝采するしかないのだ。見れば見るほど「ほ〜!」「なるほど!」「そうきたか!」と感心すること請け合い。やっぱ同社、ジムニーやハスラーで、この分野に関してはマーケティングも出来ているし、ノウハウも持っているんでしょうね。こういった“SUVっぽい”商品って、近年他のメーカーなんかでもよく見かける手法ではあるんだけど、スズキのコナレ感たるや!

というわけで、スズキから新しいスタイルのスペーシアが追加された。その名も「スペーシアギア」!

ハスラーよりもさらに鳥山明っぽい!?メカ好き心をコチョコチョっとくすぐられるデザイン

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ
スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

ハスラーを上に伸ばしちゃった、みたいな背高ボディーだけど、コチラは本家スペーシアと違って丸目を活かした可愛くポップな出で立ち+樹脂のモールドをふんだんにあしらってキュっとマニッシュに引き締め、さらにホイール×ルーフのブラックを効かせて(※ブラック2トーンルーフはディーラーオプション)若々しくユニセックスな印象に。ハスラーのほうがキャラ的にはアニメっぽいのだけど、個人的にはこっちのほうがよっぽど鳥山明先生っぽいんでは?な〜んて思ってしまったほど良く出来てる。ちょっとミリタリーテイストすら感じさせるし、ヘビーデューティーっぽくもあり、メカ好き心をコチョコチョっとくすぐられる感じ!

そう、スペーシアギアはスペーシアをベースにしているのだけど、ピックアップトラックみたくすこし鼻の突き出たルックスを上手に棲み分けて、まるで別のモデルみたいに仕立て上げている。

インテリアだって、素材とカラーを変えるだけでイッキに“ギア”っぽくなるから不思議!

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

それは実は内装にも言えて、ドアを開けた瞬間、ブレのない完成された世界観がそこに広がっていることに驚いて欲しい。

シートには前席のみならず後席にもハニカム柄のファブリックが張られ、そのステッチの色は鮮やかなオレンジ!

このブラック×オレンジのコントラストは、シートのみならずフロアマット(ディーラーオプション)や、エアコンの送風口にもあしらわれていて、特別感をあたえてくれる仕掛けだ。

スズキ スペーシアギア

さらにこのシート、見た目だけじゃなく機能にも優れていて、撥水加工になっているのも嬉しいじゃないの。

さらに助手席前のアッパーボックスには、シルバーの樹脂製のものが備えられているのもワクワクする。クロスカントリーモデルらしく「X」の文字を型どった、まるでクーラーボックスみたく蓋が上方にパカっと開くタイプのコレ、上に開くのはスペーシアと同じギミックなんだけど、こうして素材とカラーを変えるだけでイッキに“ギア”っぽくなるから不思議!こうなると、中に仕舞うモノすら厳選しちゃいそうだ。アーミーナイフとかね!たとえばね!

“ユーザー参加型カー”のトレンドに準じ、ラゲッジルームも勿論ギア感満載

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ
スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

その“ギア”っぽいこだわりは、もちろんラゲッジルームにも。

後席シートバックまで樹脂で覆われて、ハードなアウトドアユースにも耐えられる(拭き取りがラク、ファブリックに汚れや泥などが染みない)ように工夫されているのだ。

背の高いスペーシアベースならではの使用シーンとして、下手すりゃよっぽどジムニーやハスラーよりも自転車を代表するような道具を使ったエクストリームスポーツ向けとも言えるスペーシアギアだから、こういう仕掛けは実に喜ばしいのではないだろうか。

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

実は自転車を積む用にちゃーんと専用ボードの用意があり(オプション)、開口部の樹脂に自転車の型の凹みを付けてあるあたりもキュンとなる。

さらにラゲッジルームにはM6規格の六角レンチ穴が用意されていて、汎用の車載ユーティリティーが組み合わせるようになっているのもこういった“ユーザー参加型カー”のトレンドに準じている。

もちろんシートアレンジ(後席シートを前倒させる)もレバーを引っ張るだけのワンアクション。女性でも片手で余裕どころか、鼻歌歌いながらでも可能だ。

どんなシーンでも活躍!両側自動スライドドア

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

さらにこ〜んな硬派っぽいパッケージなのに、両側自動スライドドアを備えているのは相当にポイント高い!

いくらアウトドアが好きでも、いや、アウトドアを愛するからこそ、なんでもアナログでありゃいい、なんてことはないのだ。

両手いっぱいにキャンプ道具を持っていたとしても、自動スライドドアなら少しのアクションでドアが開く。もちろんシティーユースでのスライドドアの優位性は言わずもがなだ。

お馴染みマイルドハイブリッドを標準装備したNA or ターボモデルに2WDと4WDを設定

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

しかし、このスペーシアギア、真価は走りにこそある。

そもそもスズキは走りに対する作り込みが非常に高いメーカー。特にサスペンションのセッティングはどれに乗っても軽自動車と思えない質感を誇るのだが、スペーシアの派生車種であるスペーシアギアだって、例外ではなかった。いやほんとすごかった。

その話をするまえに、まずはパワートレーンから。

スペーシアギアはノンターボとターボの2本立て。

それぞれ2WDと4WDが選択できるのだが、試乗したのはターボの2WDだった。

スズキは早くから小さなバッテリーを搭載し、回生したエネルギーをエアコンや灯火類に使用し、さらに発進・加速時にモーターアシストも加えることで、エンジンの効率を走行のみに活かすことのできるマイルドハイブリッドシステムを展開しているのだが、このスペーシアギアにはそれが標準装備となる。

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

その恩恵も手伝って、アクセルフィールがめちゃくちゃ爽快!

踏み始めから軽自動車らしからぬほんの少しの踏力でトルクを発揮し、そこからマイルドにナチュラルにターボにつながっていくから、ターボに振り回されることのないくせに、小型普通車並みの中間加速を見せてくれる。

対してハンドリングはややルーズめだが、まあ、さほど神経質になるほどではない。コーナーの出口に差し掛かる辺りでゆっくりとアクセルを煽っていくような、ロールを殺さずに加速を足していく方向を覚えたら、むしろクロカン気分が盛り上がるような感覚でドライブ出来ると思う。

空荷でリアの暴れも浮き上がりも感じないなんて本当に感動!単純に運転が楽しい!

スズキ 新型スペーシア ギア ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

そしてサスペンションだ。本当に巧い。

先述の通り、ハンドルはややダルだ。その分、慣れないうちは舵を切るのがやや遅れがちになるのだが、そのときに見せるもっちりした接地感はちょっと筆舌に尽くしがたい。

じわ〜っと路面を掴んで、ゆっくりと車体が傾いていく。そして、まったく同じ軌跡を辿って、ロールが収束する。この収束の処理がとても軽自動車と思えないのですよ。ピタっと一度で揺り返しなく収まる感じ。今回の試乗では私一人の乗車になったのだけど、空荷でリアの暴れも浮き上がりも感じないなんて本当に感動モノ。これで後席がフル乗車だったり、またキャンプ道具や自転車なんかを積んだのだとしたら、もっとしっとりと落ち着いた挙動を楽しめるんじゃないだろうか。

さらにブレーキ時や加速時など、これはブレーキも含めたペダル類にも話が及んでしまうけれど、それらの味付けも絶妙なためにピッチングも相当に抑えられている。

単純に運転が楽しい、これこそアウトドアや遠出に一番大事な要素だと思う。そもそも運転が楽しくなけりゃ、どこかに行こうなんて思わないものね。

見た目重視と思うなかれ!走りだって十二分!

スズキ 新型スペーシア ギアと今井優杏さん ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ
スズキ 新型スペーシア ギアと今井優杏さん ボディカラー:アクティブイエロー ガンメタリック2トーンルーフ

正直、こういう商品はパッケージ重視、というか、キャッチーさに重きを置くから走りは二の次でいいんだろうな、と私自身、試乗するその直前まで思っていた。

けどほんとごめんなさい。心から謝りたいと思います。これは素晴らしかった。

懸念があるとしたら、マイルドハイブリッドシステムを搭載しているとはいえ、やはりこのパッケージやコンセプトを考えると、NAモデルはおそらくパワー不足であるだろうということ。

ちょっと購入時の値段は張るかもしれないが、長く使うこと、またアウトドアシーンに連れ出すことなどを考えたら、やはりターボという選択をオススメしたいと思った。二駆か四駆かは使用シーンで選んでほしいけれど、二駆でも決して安普請感は無いから、豪雪地帯に頻繁に出かける、とかじゃなければ二駆でも十二分だ。

いやはや、ほんとこれ、見掛け倒しじゃない。拍手モノでした。

[筆者:今井 優杏 撮影:和田清志]

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