イスラム文化圏の児童在籍の下田小(おいらせ) 勉強、マナー柔軟に指導/青森

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小笠原辰樹・臨時講師(右)から算数の九九を学ぶ、バスナマさん(左)とアブドゥルラハマン君。後方の女性は特別支援教育支援員=昨年11月29日、下田小学校の放送室

 学校でも異文化を尊重、認め合う新時代へ-。改正入管難民法が2018年12月に成立し日本で暮らす外国人が今後増えることに伴って、公立学校にも多様な文化圏の児童・生徒が転入する可能性が高まりそうだ。青森県おいらせ町の下田小学校(對馬匠校長)には現在、イスラム文化圏の児童7人が在籍。児童や保護者とこまめに話し合いを重ね信頼関係を築くことで、文化の違いや学校側の人手確保などの課題克服に努めている。

 下田小には16年秋から、パキスタン(公用語はウルドゥー語)国籍の兄妹2人が在籍。さらに18年4月、アフガニスタン(公用語はパシュトゥー語)国籍のきょうだい5人が転入した。パキスタン人児童の父親が町内で中古車販売・買い取り業を経営し、アフガン人児童の父親も同社に勤務している。

 アフガンの児童5人は日本語の授業についていけないため、国語や算数などの主要教科は日本人児童と教室を分ける「取り出し指導」で、図工、音楽、体育などの技術系教科は一緒に授業を受ける「交流学級」で対応している。

 姉バスナマさん(11)と弟アブドゥルラハマン君(10)は、学校生活への適応力や学力に見合うよう、ともに4年生に在籍。取り出し指導は放送室奥のスタジオで行い、県教育委員会が採用し配属した小笠原辰樹・臨時講師が、平仮名と片仮名の書き方や算数の九九などのほか、日本の社会生活で必要なマナーも教える。

 学校現場は、宗教、食事、慣習など日本文化との違いに直面した。イスラム教では豚肉を食べることは厳禁。アフガンの児童たちは日本食に不慣れなこともあり弁当を持参し、女子が髪を隠すためのヒジャブ(スカーフ)は学校側が校内着用を認めた。保護者と定期的に要望を擦り合わせ、相互理解に努めてきた。

 アフガンの児童5人の父親ダウラットザイ・シャムスラハマンさん(34)は「最初は心配もあったが、先生たちのおかげで子どもはみんな『学校が楽しい』と言っている。勉強だけでなく、日本のルールも教えてくれる。日本でずっと暮らしていくつもりなので本当にありがたい」と感謝。その上で「1日5回の礼拝は今は学校でさせていないが、将来的にはさせたい。学校と今後も相談していきたい」と語る。

 ただ、外国人児童をサポートする現場の人手不足は否めない。「交流学級」では町臨時職員の「特別支援教育支援員」がアフガン児童に付き添っているが、本来助けが必要な日本の児童への支援が行き届きにくくなり、町は18年9月に同校の支援員を1人増やした。さらに教務主任、教頭、校長も児童の支援に直接加わっている。「国際化時代はこのような学校環境が地方でも当たり前になるだろう。だが現場は人手が圧倒的に足りない」と熊澤尚彦教頭は訴える。

 学校現場は課題を抱えながら試行錯誤を続けている。おいらせ町教育委員会の柏崎和紀・学務課長は「学校現場でできること、できないことがあるが、下田小は保護者と綿密に話し合い信頼関係を築いてきた。互いの国の文化を尊重する気持ちを忘れないことが最も大切ではないか」と話している。