河北春秋(1/4):ほやほや屋。そんな小さな料理店が塩釜市に…

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 ほやほや屋。そんな小さな料理店が塩釜市にある。メニューは文字通り、宮城県産のホヤづくし。切り身たっぷりの塩ラーメンや塩焼きそば、チーズ春巻き、チーズフォンデュ。目玉が「ほやしゃぶ」。昨年11月の開店以来、ホヤのファンを増やす▼生食を除けば、定番は酢の物か蒸しホヤ。意外に調理法が少ない。店で薦められたのが唐揚げだ。自然な塩味、エビやカキより濃厚なうまみが口に広がる。「最初に創作した料理です」と店主の佐藤文行さん(59)は自慢げだ▼県産ホヤは福島第1原発事故以後、大消費地の韓国から輸入禁止にされ、販路を失った。3年前から廃棄や生産自粛が続く。塩釜のかまぼこ製造業者だった佐藤さんは、「ホヤの処分に困った。練り製品に使えないか」と宮城県漁協から相談された▼試作をしたが、個性の強い味の生かし方に難儀。「全く新しい料理を」と発想を変えた。試行錯誤の末の唐揚げ、昆布だしのしゃぶしゃぶが仲間内で評判を呼び、「ホヤの食べ方を提案し、地元消費を助ける店」を思い立った▼三陸の漁師や加工業者と組み、旬の新鮮さを通年で保つ方法を考案。メニューの創作とともに、東京、大阪で試食会を催し、ホヤを愛する人のクラブも始めた。「地元が誇れる食材。料理店、家庭に広めたい」(2019.1.4)