長崎県庁移転1年 「跡地整備 早く」地元不満 「街づくり遅れる」募る危機感

 新県庁舎(長崎市尾上町)の供用が始まり、4日で丸1年を迎える。昨年11月末、長崎県と市は旧県庁舎跡地(江戸町)に文化芸術ホールなどを整備することで共通認識を得たと表明したが、整備スケジュールや整備方針などを巡って跡地周辺の住民からは不満やいら立ちの声が上がっている。
 3月にも取り壊される予定の旧庁舎本館は、既に仮囲いに覆われている。本館を見上げるように店が並ぶ江戸町商店街の三瀬清一朗振興会長は「夜は真っ暗。早く街づくりを進めないと、どんどん遅れてしまう」と危機感を募らせる。
 長崎商工会議所が昨年7月に実施した歩行者通行量調査によると、江戸町商店街の通行量(平日)は750人で、前年度調査の1248人から減少。調査日が悪天候だったとはいえ、同じ日に調査した長崎駅前商店街や茂里町などの地点と比べ、減り幅が大きい。
 三瀬会長は「通行人の減少は商店街の売り上げにも影響が出ている」と話す。特に昼間は影響が大きく、夜のみの営業に切り替えた飲食店もあるという。「とにかく地元の意見を聞いて、早く跡地を整備してほしい」と訴えた。
 「跡地には恒常的に人が集まる施設を望んでいたが、ホールではそうはならない」と整備方針を疑問視するのは、江戸町自治会の川添弘之会長。跡地周辺の交流人口が増えなければ、中心市街地全体の衰退にもつながると懸念している。一方で「地元の意見は県や市に採用されない。何を言っても一緒」と冷ややかに語った。

人通りが減った長崎市の江戸町商店街

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