備え始め

 長崎でもカタカタと家具が鳴った。一瞬緊張が走った人もいただろう。正月三が日を終えようとしていた夕食どき、熊本県和水(なごみ)町で震度6弱を記録した地震は、本県の広い範囲で震度3~1ほどの揺れとなった▲熊本ではUターンラッシュで混雑する九州新幹線がストップし、大勢の乗客が足止めされた。一夜明けたきのうは、建物のガラスが割れるなどの被害が明らかになった▲震度7を2度も記録した2016年の熊本地震が思い出された。50人の犠牲者を出したあの時と違い、人命に関わる被害がなかったのは不幸中の幸いだが、熊本の人は、大きな地震がまた続くかもしれないと不安が収まらないだろう▲今回の地震は、16年の地震を引き起こした断層帯とは震源が離れており、直接の関係はないらしい。地下のことは素人にはよく分からないが、日本ではどこでも大きな地震が起こりうるということは分かる▲本県でも多くの人が、年の初めの揺れにびくりとしながら、地震への備えを怠ってはならないと感じたことだろう。この機会に改めて気を引き締めたい▲きょう以降、県内各市町では新春恒例の消防出初め式が開かれ、防災の誓いを新たにする。市中行進や一斉放水の際、今年の消防団員たちは例年にも増して真剣な顔を見せているかもしれない。(泉)

© 株式会社長崎新聞社