認知症の予兆 AI使い検知 長崎大学病院で実証実験

 長崎大大学院工学研究科の小林透教授(ソフトウエア工学)の研究グループは人工知能(AI)を使い認知症の予兆を検知するシステムを開発している。同大学病院の外来患者による実証実験を昨年12月から始めた。
 研究グループは高齢者の認知症の早期発見につなげようと、2017年夏ごろから開発に着手。開発中のシステムではロボットが年齢や日付、今いる場所などを音声で質問。回答内容を認識して自動で点数化する。検査結果は通信アプリで家族に送信できる。
 実用化されれば、高齢者は病院まで行かなくても自宅などで手軽に検査を受けることが可能になる。医療機関も質問や採点、機器準備などの負担が軽減されるという。
 実証実験は1月末まで実施。大学病院の外来患者10人程度にロボットの質問に答えてもらい、検査の精度を調べる。人の顔や音声を正確に認識できているかも確認する。
 小林教授は「決まった質問だけでなく日常会話の中で認知症の予兆を捉えられるような機能も開発したい」としている。20年度までに完成させた後、製品化を目指すという。

認知症予兆検知ロボットの機能を確認する小林教授=長崎市文教町、長崎大

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