神戸の教頭職、なり手不足でピンチ 背景に重い業務負担、時間外労働で過労死ライン超えも

©株式会社神戸新聞社

教員の相談に乗る神戸市立唐櫃中の守田智昭教頭(左)=神戸市北区唐櫃台4

 神戸市立小中学校で教頭候補の40代中堅教員が減少している。市教育委員会によると、2018年度の教頭への昇任試験受験者は7年前に比べて半減。背景にあるのは業務負担の重さだ。18年度上半期(4~9月)、教頭の月平均時間外労働は小学校で74時間、中学校では過労死ライン(80時間)を超える92時間に上る。市教委は補佐役を置くなどしたが、勤務時間縮減にはなかなか結びつかない。現場からは「このままでは教頭を目指そうという教員が減るばかり」と早急に対策を求める声が上がる。

 神戸市北区の唐櫃中。守田智昭教頭(54)は毎朝午前7時前に出勤する。業務メールをチェックしていると、生徒の欠席連絡の電話が鳴り始める。日中は来客や教員の相談などに応じるほか雑務をこなし、放課後は家庭訪問に出掛けた教員が戻るのを待つ。「午後8時には帰るよう努力しているが、残業を月80時間以内にするのは難しい」

 一方で、1日30分早く帰る取り組みや会議の削減、ノー残業デー(水曜)などに取り組み、月80時間超の残業があった教員は半減した。「校長の学校運営や教員を支えることが教頭の役割。楽しく仕事しようと心掛けている」と話す。

 ただ、教頭への昇任試験受験者数は減少傾向にある。市教委は年齢制限を撤廃するなど門戸を広げたが、教員のいびつな年齢構成が候補者育成を難しくしている。

 市立小中の教諭(栄養、養護教諭を除く)を年齢別にみると、最も多い30歳(250人)と最も少ない45歳(69人)とでは3倍以上の差がある。1990年代に少子化を受けて教員採用を抑制。95年の阪神・淡路大震災で採用をさらに絞った。結果、40代が少なくなり、若手教員の育成に手が回らない状況が生じた。

 また、いじめ問題などの生徒指導や保護者対応などで難しい判断を迫られるケースも多く、教頭への昇任を敬遠する中堅教員もいるという。

 市教委は、小学校に教頭の補佐役の教員を置くとともに、一定規模の小中学校には電話対応や資料のコピーなどの事務処理を担う「業務補助スタッフ」を配置し、教頭の業務軽減を図った。「最低でも80時間以内に収めたい。一足飛びの改善策はないが、中堅が意欲を持ってステップアップできる環境整備に努める」としている。(井上 駿)

■教員の時間外労働、家庭訪問が影響

 教員の働き方改革を巡り中教審の特別部会は昨年12月、公立校教員の時間外労働の上限目安を「原則月45時間、年360時間」などとし、夏冬春の学校休みに休みをまとめ取りできる「変形労働制」導入を盛り込んだ指針案を了承した。

 神戸市教育委員会によると、市立教員の2018年4~7月の月平均時間外労働は小学校で50時間、中学校で73時間に上る。これには、家庭との連携を図ろうと重視してきた教員の家庭訪問が影響しているという。

 学習面や生活面で気になった児童や生徒について担任が家庭訪問。親と向き合い、一緒に対策を考えてきた。中学では放課後の部活後に訪問。保護者が仕事から帰る時間に合わせるためだ。教員からは「やめてしまうと児童・生徒に細やかな対応ができず、学校現場が持たなくなる」との意見が根強い。

 市教委は「家庭訪問のあり方は現場の意見を尊重しつつ考えたい。ICT(情報通信技術)や外部人材を活用し、時間外労働の縮減に努める」としている。(井上 駿)