金栗四三走る! 大河「いだてん」放送スタート

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金栗四三が暮らした家に近い公民館に集まり、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の初回放送を見る住民ら=6日夜、玉名市の下小田東公民館(池田祐介)
長女の樹原涼子さんと「いだてん」の初回放送を見る長谷川孝道さん=熊本市

 日本人で初めて五輪に出場した熊本出身のマラソンランナー金栗四三(1891~1983年)を描く、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺[ばなし]~」の放送が6日始まった。初回放送をテレビで見守った地元住民や関係者らは、全国的な注目を集める「郷土の偉人」の物語に期待を膨らませた。

 金栗が後半生を過ごし、旧居や墓が残る玉名市小田地区。地元の公民館では午後6時からBS放送の観賞会があり、住民約30人がテレビに見入った。

 年配者の中には、金栗の生前の姿を直接見聞きした人も少なくない。会社員の田尻敏夫さん(65)は「小学校のマラソン大会で、金栗先生が毎年スターターを務めていた姿を思い出した」。初回の出番は少なかったが、主婦の関由紀子さん(67)は「登場がまだかまだかと待ち遠しかった。これからも小学生の孫と楽しんで見たい」と笑顔で話した。

 初回放送は当初、玉名地域1市2町主催のパブリックビューイングが生誕地の和水町で予定されていたが、3日の地震の影響で中止。小田地区は翌4日、住民有志らの発案で急きょテレビ観賞会の開催を決めた。

 市区長会協議会の船津和利会長(69)は「また金栗先生に会えるのがうれしい。地元一丸となってドラマを盛り上げていきたい」と力を込めた。

 住民の自主的な観賞会は和水町の「道の駅きくすい 菊水ロマン館」でもあり、約50人が楽しんだ。

 熊本市中央区では、金栗を直接取材した唯一の伝記「走れ二十五万キロ」の著者である元熊本日日新聞記者の長谷川孝道さん(87)も、静かにドラマを見守った。1960年の本紙連載で老境の金栗のもとへ足しげく通い、他界するまで20年以上交流を続けた。

 「縁側で日なたぼっこをし、好物のもちを食べながら話を聞いた日々が懐かしい」と目を細める長谷川さん。「スケールの大きな生き方や人間性をドラマがどう解釈するか。新しい金栗像を毎週見られるのが楽しみだ」

 熊本出身の人物が大河ドラマの主人公になるのは初めて。金栗は1912年の第5回ストックホルム大会を皮切りに、五輪に3回出場。箱根駅伝を発案するなど日本陸上界の発展に生涯尽力した。(長濱星悟、熊川果穂、蔵原博康)