金属行人(1月7日付)

 「平成」に代わる新元号が4月に発表される。忘年会や新年会でも「新元号予想」が話題になったのではないか。読みやすさや書きやすさを踏まえ、これまでに採用された72文字と過去の候補元号で使われた100文字程度の組み合わせが有力との見方もあるらしい▼例年、非鉄金属業界の賀詞交換会で話題になることが多いのはLME(ロンドン金属取引所)価格の見通し。「予想は当たらないもの」という決まり文句で前置きしつつ、さまざまな見方をやり取りする。足元では米中貿易摩擦の長期化が大きな懸念材料だが、実体経済への影響はまだ限定的。銅などの非鉄需給は総じて不足バランス気味に推移していることから、明るい予想が多く聞けるだろうか▼一方で今年の展望を業界で聞くと「近年は予想もつかないようなことが起こる。昨年だけでも年初に予想できなかった出来事が幾つもあった。先行きを見通すのは困難」との声もある。それでも「外部環境に一喜一憂せずにやるべきことをやるだけだ」と▼「適温」と呼ばれた経済状況の潮目は変わり、足元の商品市場はどちらかといえば弱気と言えるかもしれない。だが、非鉄金属業界の事業環境はそう悲観的な状況でもない。自動車の電動化や情報社会の高度化などに対応した需要は間違いなく伸びるし、ファンダメンタルズも比較的堅調。あとは価格が「予想通り」に上がるのを待つだけだ。

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