餓鬼岳|裏銀座ルートを一望!【上級者向け】大人のアスレチック 槍ヶ岳や剱岳をはじめ、人気の山が多くひしめく日本を代表する山岳エリア、北アルプス。その北アルプスのほぼ中央に聳える餓鬼岳は、ハードな登山コースの続く中・上級者向けのコースです。

北アルプスの隠れた名峰、餓鬼岳(がきだけ)

  • 標高: 2,647m
  • 山頂所在地: 長野県大町市
  • 最高気温(6月-8月): 17.4℃
  • 最低気温(6月-8月): 2.7℃

常念山脈の最北部、有名な燕岳から北にある花崗岩質の山で、日本二百名山に選定されている餓鬼岳。山名は安曇野から見た岩壁の「崖(がけ)岳」が訛ったという説や、大町市に残る飢餓の伝説からという説など、いくつかの由来があります。

急登やハシゴ、鎖場など山頂までハードな登山道が続くことでも知られており、特に餓鬼岳~唐沢岳、餓鬼岳~燕岳などの縦走コースは上級者向け。また北アルプスの中では比較的登山客が少ないため、静かな山歩きを楽しむ事ができる山でもあります。

餓鬼岳の難易度は?

信州 山のグレーディングでは、白沢登山口から登るコースで【体力度7、技術難易度C】。さらに縦走する場合、難易度は上がります。自分のレベルにあった山かどうか、事前に確認しましょう!

技術的難易度C
◇ハシゴ・くさり場、また、場所により雪渓や渡渉箇所がある。
◇ミスをすると転落・滑落などの事故になる場所がある。
◇案内標識が不十分な箇所も含まれる。
◇地図読み能力、ハシゴ・くさり場などを通過できる身体能力が必要

長野県 山のグレーディングを検索する

この山登って平気?グレーディング表で自分が行ける山を確認しよう!
日本の主要山岳エリアである、長野県、山梨県、静岡県、新潟県、岐阜県、栃木県、群馬県、山形県の8県、さらに石鎚山系の山の、主要な登山ルー...

ハシゴ、鎖、急登、渡渉…ハードな登山道が楽しい!

メインコースの白沢登山口から山頂までの標高差は約1,600m。それも急登が多く想像以上のつらさ!しかも前半の沢沿いのコースではへつり(崖)トラバースがあったり、沢のすぐ脇を歩いたり、アスレチック感満載。登り応えあり過ぎる中・上級者向けコースです。

餓鬼岳から燕岳への登山道もアトラクション感満載!剣ズリと呼ばれる岩稜地帯は、岩を巻いたり高巻きしたり、ハシゴや細い木の橋のトラバース、ザレ場が次々に現れ、息つく間もなく険しい登山道が続くので注意が必要です。

息をのむ絶景!アルプスの峰々を一望

そんなハードな餓鬼岳ですが、山頂には登って良かったと思える景色が広がっています。どんな絶景が見られるのでしょうか?

アルプスの峰々を一望できる山頂

餓鬼岳山頂は遮るものがなく360°見渡せる大展望!多くの北アルプスの山々を見渡すことができます。山頂周辺の砂礫部にはコマクサの群生地があるので花の時期には足元にも注目です。

餓鬼岳山頂からは高瀬川を挟んで裏銀座ルートが一望でき、鷲羽岳から水晶岳、野口五郎岳、烏帽子岳が丸見え!遠くには穂高岳や槍ヶ岳、双六岳や笠ヶ岳、立山から剱岳まで北アルプスの多くの山々が見えています。

餓鬼岳付近から見る美しい朝日

餓鬼岳小屋を利用したら絶対見たいのが朝日。小屋そばの展望台は、山頂も近いので朝日を見るのに格好のロケーション!暗いうちに登るのはちょっと…という方も朝日を見る良いチャンス。眼下に広がる雲海とともに、美しい朝日を見ることができます。

どこまでも続く美しい稜線

餓鬼岳山頂からつながる稜線も美しく、見どころの一つ。唐沢岳から常念山脈を南下し、餓鬼岳を経て燕岳から始まる表銀座縦走路の稜線がずっとつながっています。稜線の奥には槍ヶ岳の姿も。北アルプスの山々が連なる素晴らしい景色が広がります。

【1泊2日のピストン】白沢登山口から登るメインルート

メインとなる白沢登山口からのコースは山頂までの標高差が約1,600mに及びます。橋やハシゴ、鎖で登山道が整備されていますが、へつり(崖)のトラバースなど気を付けるポイントも。沢を登る登山道や急登など変化に富んだコースです。

距離:

  • 距離: コースタイム
  • 1日目: 6.3km
  • 2日目: 6.3km

コースタイム:

  • 距離: 日程
  • 1日目: 7時間40分
  • 2日目: 4時間50分

日程:

  • 距離: 難易度
  • 1日目: 1泊2日
  • 2日目:

難易度:

  • 距離:
  • 1日目: ★★★☆☆
  • 2日目:

【1日目】__白沢登山口(170分)→水場(120分)→大凪山(170分)→餓鬼岳(泊)
【2日目】餓鬼岳(110分)→大凪山(70分)→水場(110分)→白沢登山口__

白沢登山口からスタート。近くの駐車場に登山届箱と簡易トイレが設置されています。まずは林の中の平たんな林道を歩いて登山道へ向かいます。

すぐにいったん下って木橋で白沢の右岸に渡ると沢沿いの道となり、アップダウンを繰り返しながら進みます。鎖はありますが片側が崖になっているところもあるので注意しましょう。

本格的な橋から板がついているだけの橋まで色んな橋を渡り、しばらく渡渉やハシゴが続きます。大きな滝の音が聞こえてきたら「紅葉ノ滝」。滝の先のへつりトラバースは通過に要注意。沢のすぐ脇の道をいていると正面に見えてくるのが「魚止ノ滝」です。

「魚止ノ滝」を高巻きして橋の連続が終わると最終水場。道標脇に水場があります。ここから上に水場はなく、山小屋も天水を使用しているのでここで補給していきましょう。ここから急登が始まるので、休憩ポイントにもなります。

水場を過ぎたあとの急登は想像以上のきつさ!途中には落石の多いガレ場も通過するので先行者がいる場合は注意しましょう。
長い急登は主尾根へと続き、坂が緩やかになるとやがて大凪山です。木々に覆われていて眺望は楽しめませんが、やっと一息つける場所に安堵します。

大凪山からは緩やかなアップダウンを繰り返しながら進み、餓鬼岳稜線が木々の間から見えてくると、いよいよ最後の急登、九十九折の「百曲がり」。ジグザグの登り坂が続きます。

急登を登っているとある「小屋まで15分」の道標。ここまできたらあと一息!緩やかな道を歩いて餓鬼岳小屋です。

赤い屋根の餓鬼小屋に到着。餓鬼小屋の前の広場は見晴らしが良く、餓鬼岳山頂や裏銀座をはじめ、多くの山を見渡すことが出来ます。

餓鬼岳小屋に荷物をデポして山頂へ。小屋の裏手の登山道はハイマツと白砂のコントラストが美しく、10分ほど登ると山頂です。山頂には祠が鎮座し、三等三角点があります。

餓鬼岳の山頂は格好の裏銀座縦走コースの展望台。鷲羽岳、水晶岳や野口五郎岳、烏帽子岳などの山々が連なり、奥には薬師岳や立山、剱岳の姿が。帰りは同じ道を通って下山しますが、鎖場や急坂などが続くため、足元には十分注意しましょう。

余裕のある人は、唐沢岳へ挑戦!

余裕のある人は餓鬼岳からさらに北西にある唐沢岳に挑戦してみましょう。往復約5時間半、アップダウンのあるハードな登山道ですが、山頂からは裏銀座縦走コースがさらに近くなり好展望地となっています。

餓鬼岳山頂から30分ほど歩いて展望台へ。ここからいったんかなりの下りとなり、荷物が少なくてもハードだと感じるアップダウンの連続です。餓鬼のコブを巻いてからの花崗岩のザレ場の下りは滑りやすいので注意して。この後もアップダウンが続きます。

唐沢岳直下は急傾斜の岩稜帯とザレ場の連続。花崗岩のザレ場は滑りやすく滑落の危険もあるので、下りも要注意な場所。最後に岩場を登ったら唐沢岳山頂です。

【1泊2日で縦走】餓鬼岳~東沢岳~燕岳

餓鬼岳から東沢岳を経て燕岳に縦走するコース。人気で人も多い燕岳ですが、そこへ至るまでの縦走路は人が少なく静かな山歩きができます。ただし、かなりハードなコースのため中・上級者向き。

距離:

  • 距離: コースタイム
  • 1日目: 6.3km
  • 2日目: 11km

コースタイム:

  • 距離: 日程
  • 1日目: 7時間40分
  • 2日目: 9時間25分

日程:

  • 距離: 難易度
  • 1日目: 1泊2日
  • 2日目:

難易度:

  • 距離:
  • 1日目: ★★★★☆
  • 2日目:

【1日目】__白沢登山口(170分)→水場(120分)→大凪山(170分)→餓鬼岳(泊)
【2日目】餓鬼岳(150分)→東沢岳(40分)→東沢乗越(180分)→燕岳(25分)→燕山荘(50分)→合戦小屋(60分)→第二ベンチ(60分)→燕岳登山口__

1日目は白沢登山口から餓鬼岳小屋まで登り、餓鬼岳小屋に1泊します。2日目は餓鬼岳小屋からスタート。
餓鬼岳のテント場を通って剣ズリと呼ばれる険しい岩稜帯を目指します。ハイマツとのコントラストが美しく展望の良い登山道です。

剣ズリ手前から燕岳付近までは岩峰にかけられたハシゴをか登ったり下りたりするアトラクション感満載の登山道が続きます。基本的にはハシゴなどで岩を登って超えますが、樹林帯を歩いて岩峰をまく場所も。花崗岩の奇岩が多く絶景が続きますが足元には注意しましょう。

眼下にはダム湖が見え裏銀座縦走路の山々の稜線が美しく見える場所ですが、高度感ある登山コースの連続。慎重に歩きましょう。

尾根の突端部で左に90度折れ、登山道を下ると樹林帯に入ります。さらに垂直のハシゴを下り、針葉樹林帯をどんどん下っていきます。
下りが終わると現れる崩壊地。かなり滑りやすい場所のため、慎重に通過しましょう。登り返しの岩場歩きとなり東沢岳を過ぎたらザレた急斜面が東沢乗越まで続きます。

東沢乗越から樹林帯を抜けると展望が開け燕山荘が顔を見せます。奇岩が作り出す造形美が美しく、お花畑も綺麗!北燕岳のトラバースを通過し、広々とした登山道を進んで燕岳へ。

燕山荘の向こうには表銀座縦走路の美しい稜線が続き、槍ヶ岳の姿もとらえられます。付近はライチョウの生息地にもなっているので、姿を見る事が出来るかも?体力的にキツイ人は燕山荘でもう一泊するのもおすすめです。

燕山荘から中房温泉へ向けて下山。合戦小屋までは尾根道を下り、小屋からはやや急ですが、登山道は整備されていて適度にベンチもあるので、気を抜かず休憩しながら下りましょう。

▼燕岳のコース詳細については、こちらの記事をチェック!

北アルプス登山の初心者は燕岳がおすすめ! 憧れの日本アルプスデビューへの道
北アルプス三大急登のひとつ、合戦尾根を登り切った稜線上にある燕岳。北アルプスの入門コースとしてのルートもあり、日本アルプス初心者でも安...

餓鬼岳登山の注意点

餓鬼岳は人のあまり多くない山なので、事前にしっかりとコースの確認や対策をしていきましょう。

増水時には注意が必要!

白沢登山口から登る場合、コース前半は沢沿いを登っていく登山ルート。渡渉が何か所かあり、橋も多いため増水時には注意が必要。滝も近くにあるため、増水時には登山道が消失する可能性もあり危険です。天気のチェックを必ずおこない、天候悪化時の下山には注意しましょう。

登山者が少ないため、必ず熊対策も!

餓鬼岳の登山道では、ツキノワグマの目撃情報があります。燕岳など他のアルプスの山に比べ、登山者は少なく静かなため、熊鈴など熊対策は必ず行いましょう。

【死んだふりはNG?】実際にあった被害といざという時の熊対策7つ
熊に関する事件や、遭遇してしまった時の対策方法をご紹介します。熊との遭遇による事故がメディアでも放送される昨今、いざというときのために...

不明瞭な場所も!地図とGPSアプリは必ず準備

登山地図はもちろん、GPSアプリは圏外でも使えて便利!あわせて準備しましょう。

4つの地図アプリを徹底比較!登山用GPSのQ&A;
登山用のGPSといえば一昔前はハンディタイプが主流でしたが、なかなか手が出しにくく、所持している人は稀でした。しかし、スマホの普及で登...

餓鬼岳の山小屋・アクセス情報

餓鬼岳は山頂までの距離も長く標高差もあるので1泊して登るのがおすすめ!山頂近くに小屋があるので、景色が良く朝日や夕日も見ることができます。

登山道にある山小屋情報

【餓鬼岳小屋】

餓鬼岳山頂直下に立つ小屋。小さいながらも食事などの評判が良く、人の少ないエリアのため快適に宿泊できます。小屋の前の展望台も眺めが良いのも魅力!

餓鬼岳小屋に来たら定番のこれ。餓鬼をイメージした餓鬼小屋のシンボルで、宿泊すると日付入りのカードをもらえます。大変な登りのあとの「よくきた」が、しみじみ嬉しく感じます。

電話番号:0261-22-2220
営業期間:6月上旬~10月中旬
料金:9,000円(1泊2食)

【燕山荘】

人気の山小屋として常に名前のあがる燕山荘。綺麗でご飯もおいしくてロケーションも最高です。泊まらなくても利用できる喫茶サンルームも人気。

電話番号:090-1420-0008
営業期間:4月末~11月末
料金:10,000円(1泊2食)

燕山荘|北アルプス入門といえばこの山小屋!予約方法や食事まとめ
燕山荘まとめ。スタッフブログ、予約について、個室、食事、混雑や天気について、Tシャツやグッズなどをご紹介。ケーキバイキングなどで女性の...

白沢登山口へのアクセス方法

__【車の場合】
__長野道自動車道 安曇野IC→白沢登山口

__【電車の場合】
__白沢登山口に行くバスはありません。電車で行く場合は、駅からタクシーを利用しましょう。
JR大糸線 信濃大町駅よりタクシー(約30分・約4000円) JR大糸線 信濃常盤駅よりタクシー(約15分・約2700円)
※白沢登山口へ下山する場合、登山口付近でタクシーを拾うことは難しいため、餓鬼岳小屋で事前にタクシーの手配をする事をおすすめします。

__【駐車場情報】
__駐車場には夏期のみ簡易トイレが設置されています。タクシー乗り場への駐車は厳禁なので注意しましょう。

住所:長野県大町市常盤 松川
駐車台数:約20台
料金:無料

餓鬼岳に挑戦してみよう!

実際にコースタイムより時間がかかっている方も多く、思ったよりハードだったとの感想も多い餓鬼岳。ですが、多くの名峰を一望できる、山頂からの絶景は一見の価値あり!登山上級者は、絶景続きの燕岳方面の縦走にも是非挑戦してみてくださいね。

__【登山時の注意点】
__・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。)
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。

© 株式会社スペースキー