外国人旅行者が一番不安に思うことは?

地震の後、外国人観光客らで混雑した新千歳空港=2018年9月8日

 外国人の旅行者にとって、日本に来るときの不安は何なのか? これまでは、最も大きい問題は「言葉」や「費用」だったが、昨年夏から秋に日本で起きた災害の後は、「地震」と答える人が一番多くなった。日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が毎年共同で行っている調査で分かったもので、外国人旅行者が災害大国日本を意識していることが浮かび上がった。

 調査は「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」と題し、2012年から、アジアと欧米、オーストラリアの計12地域の、海外旅行の経験がある人たちを対象に行ってきた。第1回の12年から17年まで、外国人にとっての一番の不安は「言葉が通じるかどうか」で、その次に「滞在費」や「渡航費」の不安が続くというパターンだったが、18年夏の西日本豪雨、同年9月の台風21号と北海道胆振東部地震の後の調査では、それまでトップになったことがなかった「地震が起こるかどうかが不安」が1位になった。

 「地震」を不安視する人は特にアジア地域で多く、実際に「自然災害が心配」なため「当面の間、訪日旅行の検討をやめた」人が多いことも分かった。一方、欧米豪の人たちの一番の不安は従来どおり「言葉」で、災害についてはそれほど心配していないことも分かった。

 18年に日本で起きた災害について聞くと、7割以上の人が「知っている」「聞いた気がする」と答え、47%が「日本は自然災害が多い」と考えながらも、44%が「自然災害からの復旧が早い」、同じく44%が「旅行先として安全」と日本を評価し、調査対象の国の中では、日本は「今後旅行したい国」のトップだった。

 日本交通公社の外山昌樹主任研究員は「災害の直後の調査なので、災害は海外の人の記憶にも新しく、このような結果が出たと思う。特にアジアでは報道の量が多かったのではないか。ただ、災害でいったん落ちた訪日客も回復してきており、現在は、災害への不安は和らいでいるのではないか」と話している。 (共同通信エンタメデスク=宇野隆哉)

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