桐蔭学園、貫いた「継続ラグビー」 監督、惜敗にも誇り

 全国高校ラグビー大会で6度目の決勝を戦い、初の単独優勝を目指した桐蔭学園高は大阪桐蔭高に24-26で惜敗し、準優勝に終わった。頂点には届かなかったものの、チームを率いる藤原秀之監督(50)は「間違っていた物は何もない。選手が継続ラグビーを貫き通してくれた」と伝統の攻撃スタイルで戦い抜いたフィフティーンを誇った。

 大阪桐蔭高や東福岡高と比べて小柄な選手が多くても、楕円(だえん)球を手にすれば一気に波状攻撃を仕掛ける。藤原監督は、8年前に現在は日本代表で活躍する松島幸太朗選手(サントリー)らを擁して東福岡と両校優勝して以降、「どこからでも得点できる」スタイルを磨いてきた。

 海外ラグビーの指導法も取り入れ、選手のレベルに分けた細かな練習を行う。「ラグビーは格闘技ではなく球技。ランニングラグビーこそ真骨頂」とボールスキルの磨きに重点を置く。昨春からは8年ぶりにクラスの担任を務め、ラグビーに掛ける時間は減ったが、「松島の代とは大違いでミーティングの8割は選手に委ねてきた」と主体性を強化。昨夏は隔年で行っていたオーストラリア遠征も行わず、悲願の単独優勝へ意識のベクトルを向かせたという。

 主将のSH小西泰聖選手(3年)は「答えではなくヒントを与えてくれた」と感謝する。この日も2点を追う後半29分、相手のキックオフからマイボールにするとパスをつないで敵陣を目指した。「リスクを背負っても継続攻撃を信じた」と副将のロック今野勇久選手(同)。指導18年目の指揮官の信念はノーサイドまで体現されていた。

 「日本一になるのはこれからも大変だけど我々のスタイルは継承され続ける」と指揮官。あと一歩で頂に届かなかった選手たちに、「意志あるところに必ず道あり」と言葉を贈るつもりという。

パスをつないで攻め上がる桐蔭学園の選手ら=花園ラグビー場

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