【平成の長崎】焼失の新上五島・江袋教会が復活 落成に信者ら笑顔 平成22(2010)年

 2007年2月の火災で大部分を焼失し、今年3月末に修復工事を終えた江袋教会(長崎県新上五島町曽根郷)の落成・献堂式が5月9日、現地であり、信者らが約3年ぶりの復元を喜び合った。

 同教会は1882年に創建。日常的に使われる教会としては国内最古だった。台形の屋根やこうもり傘のような形の「リブ・ヴォールト天井」が特徴。火災後の07年4月に町有形文化財に指定。現在、県有形文化財指定に向けた手続きも進められている。

 火災は、漏電が原因とみられ約200平方メートルを焼いた。ただ、柱や梁(はり)の骨組みは一部残っており、焼けた木材の表面を合成樹脂で覆うなど残存部を生かしながら修復。調査工事費を含む総工費は約2億円。県や町からの補助金のほか、同教会を所有するカトリック長崎大司教区・高見三明大司教)が寄付を呼び掛けた。

 式には信者ら約200人が参列。高見大司教や井上俊昭町長ら4人がテープカットして復元を祝った。この後、教会内で献堂式ミサがあり、高見大司教は「この3年の間待ち遠しかったと思う。教会が末永く祈りの家として存続することを祈っている」と述べた。

 参列した信者の尾上勇さん(80)は「焼けた教会がこのように修復されるとは思わなかった。今日の喜びは言葉では表しきれない」と涙ながらに語った。(平成22年5月10日付長崎新聞より)
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修復された江袋教会=新上五島町

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