ニューコア、米中西部に厚板新工場 1460億円投資、22年稼働へ

 米国電炉最大手のニューコアは7日、13億5千万ドル(約1460億円)を投資し、米中西部に厚板工場を新設すると発表した。年産能力は120万トンで、2022年の稼働を予定している。

 新工場では板厚14インチ(約356ミリメートル)、板幅160インチ(約4060ミリ)まで対応し、12万トンの熱処理材、6万5千トンのインゴットも造れる仕様とする。ニューコアの厚板事業のメニューが大きく広がり、同社は「米国で使われる厚板製品の97%超に対応できるようになる」としている。

 現在、ニューコアはハートフォード郡(ノースカロライナ州)とタスカルーサ(アラバマ州)、16年に買収した旧ジョイ・グローバルのロングビュー(テキサス州)の計3カ所に厚板工場を持つ。新工場の建設地は今年上期にも決める予定で、インディアナ、ケンタッキー、オハイオ、ウエストバージニアのいずれかを候補としている。

 ニューコアによると、米国の厚板需要(コイル除く)は年間600万トンで、うち米中西部は180万トン(コイル除く)。同地域に工場を持たないニューコアのシェアは24%で、北東部や南部の約4割と比べ低かった。

 これまで米国最大の厚板メーカーはアラバマの新鋭工場や旧イプスコの事業を率いるスウェーデンスティール(SSAB)とされてきた。ニューコアは新工場の稼働で400万トン超の年産能力を持つ圧倒的な首位に立つ見込み。

 米国では16年に日本を含む12カ国・地域の厚板輸入に対しアンチダンピング(反不当廉売=AD)措置の適用を開始。昨年には「通商拡大法232条」も発動したことで輸入材が減少し、厚板市況は900~1千ドルへと上昇した。

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