子に親のがん伝えるか 伝える年齢、時期に悩み NPO法人が意識調査

 乳がん患者と家族の支援に取り組む長崎県佐世保市のNPO法人「葵(あおい)会」(吉村市代(いちよ)代表)は、親ががんになった子どもの支援に関する意識アンケートをした。子どもに伝えるべきだと考える人が大半を占めたが「伝えられる」と考える子どもの年齢には、ばらつきがあった。吉村代表は「伝えないことで子どもを傷つけることもある。求められる活動を考えるため、継続して調査をしたい」としている。

 アンケートは、昨秋にインターネット上で4日間取り組んだ。がん患者との関係や、子どもへのがん教育をする場所など7項目について質問。SNSの投稿を閲覧したりした男女101人が答えた。

 親ががんになった事実を伝えるべきかについては、約9割が「伝えたほうがよい」と回答。知らせて問題がないと思う年齢については、小学校中学年の「9~10歳」と答えた人が19人で最多だった。一方で「3~4歳」(10人)や「16~18歳」(10人)を選ぶ人もいた。

 子どもに伝える時期については「がんと分かったらすぐ」が約半数を占めたが、「治療の影響などで隠せなくなってから」も約26%に上った。吉村代表は「実際は、入院直前まで言い出せない患者は多い」と指摘。「子どもたちの気持ちを受け止めるために何ができるかを考える段階に来ている」とする。

 葵会は昨年、親のがんを子どもに伝える意義を訴える紙芝居を制作。2月には佐世保市などで、親ががんになった子どもの心のケアを体験するワークショップを予定している。吉村代表は「がん患者の悩みの一つが子ども。子どもを支援する啓発活動を充実させ、若い世代に対する早期発見のPRにもつなげたい」と話した。

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