天下泰平や五穀豊穣、矢に願い 熊本市の藤崎宮で「射去祭」

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烏帽子に直垂の古式ゆかしい姿で弓を引く射手=熊本市中央区

 熊本市中央区井川淵町の藤崎八旛宮で9日、天下泰平[たいへい]や五穀豊穣[ほうじょう]を祈って的を射る伝統神事「射去[いざり]祭」があった。

 同宮が935年に創建された当時から続くといわれる神事で、平将門の乱の平定を祈願したことが由来。現在は細川藩の弓術を伝える日置[へき]流道雪派弓術同門会(水戸秋光会長)が毎年奉納している。

 古式ゆかしい烏帽子[えぼし]、直垂[ひたたれ]姿の6人が射手となり、天下泰平への思いを込めた矢(甲矢[はや])と、五穀豊穣を願う矢(乙矢[おとや])の2本をそれぞれ、約20メートル先の的(直径約1・5メートル)めがけて放った。矢が的の真ん中に命中するたび、参拝客から歓声と拍手が湧いた。

 1番手の「弓太郎」役を務めた県弓道連盟会長の江郷國紘さん(73)=上天草市=は「全国で災害が頻発しているので、ことしは穏やかな一年であってほしいと弓を引いた」と話した。愛知県豊田市から家族と観光で同宮を訪れていた喜多幸彦さん(78)は「厳かな所作で素晴らしかった」と感心していた。(松冨浩之)