交番襲撃に備え 机の配置変更、盾配置やカメラ撮影へ

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 地域防犯の「拠点」である交番が揺れている。昨年6月に富山市で、9月に仙台市で襲撃事件が発生し、警察官2人が死亡した。全国の警察で対策が取られ、長崎県警は交番・駐在所計73カ所のレイアウトを変更した。ただ、善意の市民を装った襲撃事件も起きており、長崎市内の交番を巡ると、対面者との距離感に影響を及ぼしていた。10日は「110番の日」。

 7日夜。長崎県内最大の繁華街に位置する丸山町交番(長崎市丸山町)には宿直の警察官7人が詰めていた。「昼間は忙しかったけど夜は静かですね」「平和が一番たい」。談笑しつつも緊張感を緩めない。不測の事態に備え、深夜も外の様子を注視している。

 男性巡査(23)は着任してまもなく1年。繁華街だけに夜は酔客の対応が多く「修羅場に遭遇することはしょっちゅう」と苦笑する。「でもびびってはいられない。地域の安全を守りたい」

 そんな防犯の「最前線」が昨年、相次いで狙われた。6月、富山市で警察官が刺殺され、奪われた拳銃で警備員が射殺された。仙台市でも9月に警察官が刺殺された。石橋交番(長崎市松が枝町)の女性巡査(26)は「正直怖い。交番襲撃なんて聞いたことがなかった」と衝撃の大きさを率直に語る。

 仙台市で警察官を刺殺し射殺された男は、拾得した現金を届ける名目で交番を訪れていた。善意を装った「市民」の凶行を防ぐ手だてはあるのか。戸町交番(長崎市戸町4丁目)の男性巡査長(53)は「大半が善良な市民であることはわかっているが、『もしかしたら』という目で見ざるを得ない」と胸の内を明かす。

 長崎県警によると、長崎県内の交番は73カ所、駐在所は127カ所。うち、昨年の事件後に襲撃対策として机の配置などレイアウトを変更した交番・駐在所が計73カ所。3カ所で対応スペースとなるカウンターを設置した。さらに、新年度に対襲撃用の透明アクリル製小盾の配置を検討。交番内をカメラで撮影し、緊急時に各署もしくは長崎県警本部に映像が送られるシステムの実現を目指すという。

 ただ、地域にとけ込んだ交番ならではの悩みもある。「交番のレイアウト変更によって市民にとって訪れにくい場所にならないだろうか」。まだ変更されていない丸山町交番の男性警部補(37)は口にする。地域との距離感が広がらないか不安視する声は少なくない。

 地域と交番。双方の安全をどう守るのか。地域警察を担当する赤瀬幸利警務部首席参事官は「今まさに、在り方を見直す時期にきている。今年は、交番などの機能強化を図るスタートの年にしたい」と語る。

深夜の時間帯も事件発生に備える警察官=長崎市、丸山町交番