「お蔵入り」2年、妙案なく 中谷宇吉郎ゆかり実験装置 北大から加賀市に譲渡

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 「雪博士」として知られる加賀市出身の物理学者・中谷宇吉郎ゆかりの実験装置が、長らく「お蔵入り」状態となっている。中谷博士が在籍した北海道大にあった装置は、市が2014年に譲渡を受け、16年に展示計画を立てたが、装置の大きさや重量がネックとなって頓挫。その後も活用の妙案がないまま倉庫で保管され続けており、郷土の偉人の「大きすぎる遺産」をどう生かすかが課題となっている。

 9日に開かれた市議会教育民生委員会で、林俊昭委員(無所属)が実験装置の取り扱いについて尋ね、市教委側は「現時点では活用法は未定」と答えた。

 「風洞(ふうどう)実験装置」と呼ばれるこの機器は、ダクトに風を通して樹氷のでき方などを研究するために使われ、中谷博士が使用したものと同型の装置が北海道大に残っていた。戦前の装置で老朽化が著しく、廃棄処分されると聞いた中谷宇吉郎記念財団(東京)がいったん引き取り、ゆかりの地で活用してもらおうと加賀市に譲渡した。

 その後、市は中谷宇吉郎雪の科学館に隣接する市浄化センターの一部を「こども科学実験室(仮称)」として改修し、装置を目玉展示とする計画を立てたが、約3・1トンに及ぶ装置の重量で床が抜ける恐れがあることが発覚。17年1月に計画を中止し、装置は市中央公園内のセミナーハウスあいりす駐車場にある倉庫に保管され、現在に至っている。

 装置は長辺が6・4メートルほどある大がかりなもので、広い設置スペースが必要となる。加えて、「中谷博士ゆかりの場所に置き、ストーリー性を持たせてこそ意味がある。一部だけを展示するわけにもいかない」(市教委)という事情もあり、適地が見つからず、公開の見通しは立っていない。

 現状を打開するため、市は中谷宇吉郎記念財団と共同で進める研究教育事業「かがく宇(う)かん」プロジェクトとも連動させながら、装置の利活用について再検討する考えを示している。

 26、27日には同プロジェクトに参加する24人の研究員・芸術家が市内に集まり研究会や公開討論を行う予定で、市教委の担当者は「さまざまな立場の識者の意見を聞きながら、何とか新たな活用法を見いだしたい」としている。