火山活動、大きな変化なし 箱根山・大涌谷で今年初の調査

 火山活動が続く箱根山・大涌谷(神奈川県箱根町)で9日、今年初の火山ガス定点観測が行われた。採取したガスの成分を分析した東海大の大場武教授は「活動状況に大きな変化はない」との見解を示した。

 大場教授は大涌谷と付近の噴気地帯で、噴出するガスを定期的に調査。ガス中に含まれる二酸化炭素(CO2)の硫化水素(H2S)に対する比率から活動の盛衰を見極めているが、「昨年12月の前回調査時とほぼ変わっていない」とした。

 ただ、火口などから噴出するガスの勢いは衰えておらず、「風向きによっては臭いが強い」と指摘。「安全対策は引き続き必要」と注意を促した。

 箱根山では2015年4月に火山活動が活発化し、同年6月に観測史上初の噴火が起きた。地震活動や地殻変動は収まったものの、火口などからガスの放出が続く大涌谷の一部では立ち入り規制が続く。気象庁が運用する5段階の噴火警戒レベルは、最低の1(活火山であることに留意)が継続している。

大涌谷で行われた今年初の火山ガス調査(東海大理学部大場武研究室提供)

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