広島地区鉄鋼市場、市中心部に再開発の波

インバウンド需要も期待

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 広島市内は街の玄関口であるJR広島駅前を中心とした再開発が進展し、利便性の高まりからオフィスビル需要が促進されよう。オフィス主体の高層ビル建設計画も浮上している。

 市内中心部では原爆投下後の焼け野原からの復興を果たした昭和30年代以降に建設されたビル群が多く、耐震化・耐用年数から見て建て替え需要が高まっている。築50年が経過し老朽化した広島銀行本店の建て替え新築工事が目玉のひとつ。地上19階・地下1階の免震構造ビル(延床面積4万8千平方メートル)建設へ、解体工事が進行している。今年から鉄骨建て方が始まり、1万トン級の鋼材需要が見込まれる。中心部の紙屋町・八丁堀界隈は国の都市再生緊急整備地域(161ヘクタール)に指定されたことで、広島商工会議所の建て替え・移転などを含めた再開発の加速が期待される。

 原爆ドームと宮島という世界遺産があり、世界で有名な割にホテルが少なかった広島に国内外のホテル会社が相次いで進出し、ホテル建設ラッシュが起きている。客室不足に加えて、ビジネス客需要以外にインバウンドなど観光客の増加を商機ととらえる傾向も強まっているのが背景にある。最大級となる米ヒルトンホテルは2022年に多機能型ホテルを開業予定。敷地6400平方メートルの土地に建設され、客室数は最大約400室、大型会議施設、スパやレストランも入る。今年秋ごろから建設着工する予定だ。

 昨年7月に西日本を中心に発生した平成30年7月豪雨は、広島県、岡山県に甚大な人的被害と建物被害をもたらした。鉄道・道路・水道といったインフラが一時寸断され、企業活動に多大な影響を与えたことは記憶に新しい。土木・道路商材を扱う鉄鋼各社は災害現場に対する鋼矢板やガードレール、かご枠製品の緊急出荷に追われた。主要道路と鉄道網は順次復旧し、昨年中にはほぼ平常時に戻りつつたる。

 一方で崩落した山肌にはブルーシートがかけられ、危険個所は応急処置が施されている段階。河川改修など次の災害対策も含めた本格的な復興工事はこれから。災害復旧・復興に向けて、公共工事請負金額が増加していく見通しだ。

 今回の豪雨災害で広島県内の死者数は、9月8日時点で109人に達し、全壊した住宅は1千棟を超える。県内の直接被害は、ある統計では公共土木施設1185億円、農林水産関係765億円、商工関係1101億円に上るという。土砂災害の被害が大きかった地域では、住宅再建を断念するケースも散見される。県内の設備投資関係では、災害発生後に製造業を中心に一時的に慎重化、あるいは計画自体が先延ばしされた可能性が高いが、投資意欲は徐々に戻ってきている。