金属行人(1月10日付)

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 昨年末に値頃感が指摘された関東地区の鉄スクラップ市況だが、年明けは一段安でスタートした。メーカー買値は1年5カ月ぶりに中心値でも3万円割れ。為替の円高傾向も輸出の弱材料となり、鉄スクラップ業界にとって先行きが心配な幕開けとなっている▼景気に敏感な鉄スクラップ市況だけに、市況下落は景気減速のサインとして語られることもある。米中貿易戦争で世界的な景気減速が懸念される中、その兆候をいち早く鉄スクラップ市況が織り込み始めたという見立てだ。こうした見方自体が弱気ムードに拍車を掛けているようにも感じる▼ただ、関東地区に限っていえば、昨年11月以降の市況下落は電炉メーカーのトラブルによる需給緩和の影響が大きい。10月下旬にトピー工業豊橋製造所で電気炉の設備事故があり、12月下旬には合同製鉄船橋製造所で電気炉用トランスが故障。ともに市況が材料を探るタイミングだっただけに、下げに勢いがついた面もあろう▼メーカー買値が3万円を下回ったとはいえ、歴史的に見れば市況としては高い水準にある。電炉のトラブルはいずれ解消する一時的要因。国内の建設需要は今年も堅調が見込まれる。景気は気から。あまり悲観的になり過ぎず、明るい気持ちで冷静に状況を見極めていく一年としたい。