長崎、佐賀両知事会談 打開策 国に要求で一致 整備方式では進展なし

 2022年度に暫定開業する九州新幹線長崎ルートを巡り、整備方式が決まっていない新鳥栖-武雄温泉間について、長崎県の中村法道知事と佐賀県の山口祥義知事は9日、佐賀市内で会談し、国に新たな打開策を求めていくことで一致した。ただ、長崎県側が求める全線フル規格について、山口知事は現状の整備財源負担の枠組みでは「考えられない」とし、整備方式を巡る進展はなかった。両県は今後も協議を続ける方針。

 同ルートを巡っては、導入予定だったフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が開発の難航から白紙となり、与党検討委員会は全線フルとミニ新幹線に絞り協議している。佐賀県側の区間である新鳥栖-武雄温泉について、同県は地元負担増からいずれも難色を示す一方、長崎県やJR九州はフル規格を求めている。両県のトップ会談は昨年7月のFGT断念以降、初めて。

 両知事はホテルで約1時間、非公開で会談。直後に報道陣の取材に個々に応じた。それぞれ、FGT導入断念に至った経緯に触れ、膠(こう)着状(ちゃく)態の現状について「FGT開発がうまく進まなかったところに原因がある」(中村知事)、「破綻になった原因は国にある」(山口知事)との認識を示した。

 また、中村知事は「長崎県民の大半がフル規格整備を希望しているので『可能性をゼロにしないで議論を続けてほしい』という点は、了解を取った」と説明。財源面ではJR側が負担する線路使用料(貸付料)の有効活用などを提案した。

 整備新幹線の建設費は貸付料を除く3分の2を国が、3分の1を地元自治体が負担する仕組み。山口知事は追加負担への懸念などから「われわれからフルかミニ(新幹線)か選ぶ状況にない。今のスキームで新しい何かの方策に乗る環境にないという話は申し上げた」と説明。国に対して整備方式だけでなく、在来線への対応や、ルートの設定などでも方針を示すよう求めた。

 同ルートでは武雄温泉-長崎間は既にフル規格で建設が進んでいる。

会談内容を説明する中村知事(右)と佐賀県の山口知事=佐賀市与賀町

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