寝たきりでも「分身ロボット」で心は自由! ロボット開発者・吉藤オリィが描く未来

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J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。1月7日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザーを務める津田大介が登場。ロボット開発者でオリィ研究所代表取締役所長の吉藤オリィさんをゲストに迎え、分身ロボットが接客をするカフェという変わった取り組みや、吉藤さんの活動について伺いました。

■テクノロジーで孤独を解消する

昨年12月の「障害者週間」にあわせ、興味深いカフェが期間限定でオープンされました。その名は「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」。名前の通り、接客するのは全てロボット。遠隔で操縦するのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などで自宅からの外出が困難になった人たちです。

「寝たきりでも明るい未来は描ける」と語るロボット開発者・吉藤さんが描く世界とは、どのようなものなのでしょうか? まずは、ロボット開発に興味を持ったきっかけを伺いました。

吉藤:私はもともと体が弱く、車いすに乗っていたこともあって、福祉機器に興味を持ったんです。その後、車いすの改造などをしていたら、いつの間にかロボット開発に行き着いていました。
津田:吉藤さんは、孤独で引きこもっていた時期があったと聞きました。
吉藤:小学5年生くらいからですね。検査入院で学校をまとめて休んでしまったことがきかっけです。それによって、楽しみにしていた学校行事にいけなかったり、一定期間、学校を休むと「みんな自分のことを忘れているんじゃないか」と思い、元の場所に戻りづらくなってしまうんです。
津田:吉藤さんの経験からすると、ロボットに興味があるというよりも、人間の身体が拡張していく可能性に興味があるように感じます。
吉藤:そうですね。人間の体をいじりたいというよりは、私はそこに自分の体がいないことによっての機会損失をなんとかできないかに興味があります。

吉藤さんは「私がやりたいことは『孤独の解消』である」と語り、「その方法として、自分の体がもう一つあればいいのにと思いました」と活動の意図を話しました。

■あるALS患者との出会いから分身ロボットが生まれた

オリィ研究所が最初に開発した分身ロボットOriHime(オリヒメ)は、パソコンのマウスや視線入力で操作します。遠隔地でもコミュニケーションを取れるため、社会参加ができないという障害を取り除きます。OriHimeの開発によって、あるALS患者との出会いがあったそうです。

吉藤:「ぜひOriHimeを使いたい」と言ってくれるALSの患者さんを、友人から紹介されました。彼らは意識はハッキリしているけど、体がほぼ動かせず、話すことすらできない状態でした。

吉藤さんは考えました。まず、YESかNOかをちゃんと相手に伝えられる状態にすることが必要だ、と。さらに、相づちの重要性や、「腕がなくても話せるけど、腕を上げることによってまわりの人間の態度が全然違ってくる」といったこともわかりました。

そして、「OriHime」の発展系として、「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」が誕生しました。うなずいたり、首を横に振って否定をしたり、手を挙げたり、握手したりできます。津田もこのカフェを訪れ、「かなりの衝撃を受けつつ、楽しい体験だった」と感想を述べました。

吉藤:このカフェをやりたいと思ったきっかけは、オリィ研究所に携わり、2017年9月に亡くなってしまった親友の番田(雄太)の存在です。彼は体が不自由だったため、OriHimeを使って研究所に出社していました。僕はOriHimeで「入院している人が家に帰れたらいい」とか「しゃべれることができない人が話せたらいい」とばかり考えていました。でも、番田がうちの研究所で働いたことによって、彼は「人から必要とされることを感じることが、生きていく上でとても大事だ」とずっと言っていたんです。人と会うだけではなく、コミュニティのなかで自分が何かしら役に立ち、誰かのために何かできることの価値ってすごく大事だなと思い、それなら体が動かない人でも一緒に働けるカフェとかできたらいいなと考えました。
津田:残念ながら番田さんはこのカフェを見ることができませんでしたが、実際にカフェが実現して特別な思いがあったのではないですか?
吉藤:そうですね。体が動いたとしても心が自由じゃなければ意味がない。でも、心が自由であれば体が動かなくてもテクノロジーを使うことによってできることが増えていくということを、多くの方に感じてもらえたイベントだったと思います。

「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」は、お客さんが席に着くと、ロボットが注文を取り、お菓子や飲み物を持って来てくるシステム。加えて、ロボットと会話を楽しむこともできることもできます。

吉藤:番田はよく「外出できない人たちが大変なのは、外出することによっての発見と出会いが得られないことだ」と話していました。だから、あえて今回はコミュニケーションを多めにして、店員とお客さんのツイッターやフェイスブックアカウントを交換できる時間を作りました。これは普段、外出できない人にはなかったコミュニケーションなんです。
津田:僕も何人かの店員さんとフェイスブックでつながりました。そうするとカフェが終わってからも店員さん経由でいろいろな情報が入ってくるので、新しい出会いだと感じました。

今回のカフェを通して感じたことについて、吉藤さんはこう話します。

吉藤:カフェで働くメンバーたちが楽しいと感じたことが、一番よかったと思います。もしこれがつまらなければ、やる必要はないと思っいたので。面白い仕事があって、みんなやりたいと思っているのに、それができない……というところに障害がある。それを取り除けるのがテクノロジーだと思っているので、何でも自動化するのではなく、自分がしたいことを実現させていきたいと感じたと同時に、このカフェによって多くの人に希望を与えられたことが今回の大きなポイントでした。

一方で、今回のカフェに80社近くのメディアが訪れ注目されたものの、まだまだ当事者の人たちに知られていないことが課題だと振り返りました。吉藤さんの著書『サイボーグ時代 〜リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略〜』(きずな出版)が1月22日(火)に発売されます。こちらもぜひ手に取ってみてください。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時−21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld

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