スウェーデン政治空白、ブラジル大統領選、アメリカ中間選挙|2018年下半期 海外注目選挙まとめ

2019年に入って早くも2週間がたとうとしています。今回は2018年下半期の海外の選挙を振り返りましょう。

9月 スウェーデン総選挙

9月にはスウェーデン議会総選挙が行われ、難民に寛容とされる北欧において極右政党が第三党に躍進したことが世間の注目を集めました。加えて、いずれの会派も過半数の議席を有さない状態となり、過半数の信任による政権の発足に至っていません
スウェーデンでは、日本と異なり比例代表制を軸とした選挙制度を採用しているため、議席が政党間で分散しやすい傾向があります。従来は、社会民主労働党と穏健党を軸に政権交代が行われてきました。しかし、今回の選挙では、反移民を掲げる極右・民主党が17%あまりの得票率で躍進しました。このことが連立交渉を困難なものにしています。
スウェーデンでは選挙後に議長が政党党首に対して連立交渉を行うことを求めることが憲法によって規定されています。しかし、新政権案が議会で4回否決された場合再選挙となります。この例はこれまでありませんでした。しかし、社会民主労働党と穏健党が連立を組むことにはお互い否定的であることに加え、民主党も連立を組むことに否定的です。そのため、既に2回新政権案が否決されており、あと2回否決されれば再選挙という事態に直面しているのです 。

10月 ブラジル大統領選

10月にはブラジル大統領選が行われ、ブラジルのトランプと称されるボルソナーロ氏が勝利しました
ブラジルでは長期的に経済が停滞しています。ブラジルは2015年ごろまで実質経済成長率は最悪-6%に達するなど、最悪の経済状態でした。その後、最悪の経済状態からは抜け出すものの、2018年5月にはトラック運転手による大規模ストライキが発生するなど、経済成長はうまく軌道に乗っていません。 このような経済状況の中、批判は当時の左派連立政権に向かい、2015年には汚職に対して100万人規模の、2016年には300万人規模のデモが起きました。こうした反発の結果、2016年、ルセフ大統領に対する弾劾が成立し、辞任を迫られました。
しかし、このような状況に対して、伝統的な政党の候補は、汚職による出馬資格の停止や支持の低迷によって有力な候補にはなりませんでした。このような状況の下で、清新さと経済改革を前面に打ち出すボルソナーロ氏が台頭したのです。
とはいえ、これまでの政権を襲った経済停滞は依然として続いています。経済改革による経済成長に失敗し、問題視されている同性愛者や女性への差別発言が先行する事態となれば、一層政治的な困難に突き進むことになるでしょう。

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11月 アメリカ中間選挙

なんといっても2018年最大の政治イベントはアメリカ中間選挙でしょう。4年ごとの大統領選の中間に行われるため中間選挙と呼ばれます。中間選挙では、日本でいう国会にあたる連邦議会(上院・下院)のみならず、州知事選、州議会選、市長選といった地方選挙も行われます。そのため、アメリカでは大統領選挙に次ぐ政治イベントとして注目を集めています。
中間選挙では、現在大統領を務めるトランプ氏を輩出した共和党が連邦下院で過半数を獲得できるかが注目されました。もし過半数を獲得すればトランプ政権にとっては自らの政策を実現しやすい環境になります。
しかし、結果は民主党の勝利に終わりました。その結果、トランプ政権の政策の多くは実現が困難になっています。また、トランプ政権のスキャンダルの追及が今後加速することが予想されています。

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