セ6球団の救援投手事情 2018年はV3の広島に新戦力台頭、巨人は苦しむ

ヤクルト・石山泰稚、DeNA・山崎康晃、広島・中崎翔太(左から)【写真:荒川祐史】

セ・リーグ球団別、救援登板数上位5投手から見る数値は…

 投手の分業が進む中、救援投手の役割はますます大きくなっている。各球団の主要な救援投手の成績を比較しよう。

 セ・リーグ 救援登板数上位5人の投手成績と、その合計の数値を出した。

○広島 273登21勝14敗36S73H 291回1/3 防2.63

中崎翔太 68登4勝2敗32S6H 66回1/3 防2.71
一岡竜司 59登5勝6敗2S18H 56回1/3 防2.88
アドゥワ誠 53登6勝2敗0S5H 67回1/3 防3.74
ジャクソン 48登3勝2敗1S25H 45回2/3 防2.76
フランスア 45登3勝2敗1S19H 55回2/3 防0.80

 2017年まで、救援陣の中心を担った今村の成績が下落。これを救ったのが2年目のアドゥワ誠、新戦力のフランスア。育成上りのフランスアは救援に回ってから45登板で自責点はわずかに4。こうした中継ぎ陣の後ろにクローザーの中崎がいたという図式だった。

○ヤクルト 289登19勝13敗37S69H 290回2/3 防3.68

近藤一樹 74登7勝4敗2S35H 76回2/3 防3.64
石山泰稚 71登3勝2敗35S7H 73回2/3 防2.08
中尾輝 54登7勝3敗0S12H 54回 防3.50
風張蓮 53登2勝4敗0S4H 57回2/3 防4.37
中澤雅人 37登0勝0敗0S11H 28回2/3 防6.91

 ここ数年、救援陣を支えてきた秋吉が落ち込んだが、ベテランの近藤が最多の35ホールド。石山は35セーブ。この2人は優秀だったが、他の救援陣を確立できなかった。

○巨人 178登2勝14敗9S59H 190回 防3.79

澤村拓一 49登1勝6敗0S24H 52回1/3 防4.64
上原浩治 36登0勝5敗0S14H 34回2/3 防3.63
マシソン 34登0勝3敗8S14H 33回1/3 防2.97
中川皓太 30登1勝0敗1S3H 37回2/3 防5.02
宮國椋丞 29登0勝0敗0S4H 32回 防1.97

 50試合以上投げた救援投手が皆無。「勝利の方程式」を作ることができなかった。巨人の近年の低迷は、救援投手陣の崩壊が原因とも言える。時間がかかっても救援投手を育てていくことが必要だろう。

中日はクローザーを固定できず、阪神は桑原&藤川が奮闘

○DeNA 310登15勝10敗37S100H 288回2/3 防3.21

砂田毅樹 70登0勝2敗0S24H 52回1/3 防3.61
三上朋也 65登1勝1敗0S25H 56回 防3.05
三嶋一輝 60登7勝2敗0S15H 68回 防3.97
パットン 58登5勝1敗0S33H 56回 防2.57
山崎康晃 57登2勝4敗37S3H 56回1/3 防2.72

 絶対的なクローザーの山崎は7月、8月と打ち込まれ不安を抱かせたが、立ち直った。傑出した投手はいないが、中継ぎ陣もまずまずというところ。ただ砂田は2年で132登板と酷使が気になるところだ。

○中日 234登11勝15敗12S58H 217回1/3 防4.10

鈴木博志 53登4勝6敗4S12H 49回 防4.41
祖父江大輔 51登2勝2敗0S17H 48回2/3 防3.14
岩瀬仁紀 48登2勝0敗3S10H 35回 防4.63
佐藤優 42登1勝2敗5S10H 43回1/3 防2.08
又吉克樹 40登2勝5敗0S9H 41回1/3 防6.53

 一昨年まで救援陣の大黒柱だった又吉の成績が急降下。クローザーが固定できず、いきあたりばったりの起用となった。そんな中で若い佐藤優が後半から救援の中心となる。史上初の1000試合登板を達成し、昨年限りで引退したレジェンド岩瀬は、最終年度も48試合登板。

○阪神 273登16勝17敗35S83H 269回 防2.88

桑原謙太朗 62登5勝3敗0S32H 57回 防2.68
岩崎優 61登1勝3敗0S10H 62回 防4.94
ドリス 55登1勝7敗32S4H 53回2/3 防2.85
藤川球児 53登5勝3敗2S21H 54回1/3 防2.32
能見篤史 42登4勝1敗1S16H 42回 防0.86

 セットアッパーのマテオが不振に。ベテランの藤川が中継ぎの柱として奮闘した。桑原は2年連続安定感のある投球。先発から転向した能見も好投した。しかし、クローザーのドリスは大崩れした試合もあり、今一つ信頼感に欠けた。ベテランが多く、若手の台頭が望まれる。

 救援投手はある程度枚数が必要だが、外国人投手を起用する場合「外国人枠」が、ネックになることも多い。救援投手は「調子の良い投手を使う」のではなく、ある程度固定し、我慢して使うことが必要だろう。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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