楽天ドラ5佐藤、菊池雄星に来オフの自主トレ参加“志願”「何が何でも成長したい」

楽天の新人合同自主トレに臨んだドラフト5位の佐藤智輝【写真:高橋昌江】

9日にスタートした楽天の新人合同自主トレで存在感

 9日から楽天生命パークの室内練習場で始まった楽天の新人合同自主トレ。ドラフト5位の佐藤智輝投手(山形中央高)はプロの先輩たちからの学びを生かし、成長を誓っている。

 初日は最初のランニングから18歳らしく元気を出して練習を盛り上げた佐藤。「すごくいい自主トレだったなと思います。緊張感はあったんですけど、ドラフト1位の辰己(涼介)さんを中心に声を出していこうということだったので、しっかり元気よくできたのかなと思います。自分が一番、下なので、盛り上げていこうと思って、ハイタッチとかしました」と笑顔。平石洋介監督ら首脳陣の視線もあったが、「元気だったり、はつらつなプレーを見ていただけたのかなと思います」と胸を張った。

 佐藤は昨年12月、岩手・盛岡市で開催された野球フォーラムで、マリナーズ入りした菊池雄星投手と対面。「何が何でも、成長したいという気持ちがあるので」と、来年の自主トレをお願いした。「握手していただき、『是非、アメリカで』と言っていただきました。自分のためになったり、チームの勝ちにつながったりするのであれば、自分の意見はどんどん出していかないといけないなと思っています」と話す。

 山形中央高と菊池の母校・花巻東高は同じトレーナーが関わっているつながりもあり、山形中央高のミーティングでは庄司秀幸監督が菊池の話をすることもあるという。佐藤の中で憧れが募っていた。「しかも、メジャーリーグに挑戦するという話もあったので、ここは行くしかないと思って行きました」と果敢にアピールした。

受け身にならず貪欲に学ぶ「そこは苦労しないと思います」

「元々、“山形”の子で、(前に)出て行けなかった子」と振り返る庄司監督は、佐藤が菊池へ自主トレを申し込んだことに驚きながらも、教え子の成長を感じ取った。野球フォーラムで菊池が話した内容は、山形中央高の後輩たちにパワーポイントを使ってしっかりと伝えた。「3分の予定が1時間になりました」と庄司監督。わずか1日でまとめ、菊池からの学びをアウトプットした。

 プロの“予習”を済ませてきた。「1軍で投げている選手から入寮前にいろいろな話を聞けたりしたので良かったです」と佐藤。年始には山形中央高の先輩の阪神・横山雄哉投手、日本ハム・石川直也投手、阪神入りした斎藤友貴哉投手(Honda)らと母校で練習をした。昨季、52試合に登板し、チームトップの19セーブを挙げた石川からは「自分で掴みに行くかどうか。同じチームの選手でも全員がライバルで、1日1日がギャンブルのような生活だ」と言われたという。中学2年だった2014年の山形大会決勝で石川の快投を見て山形中央高を志望した佐藤は、憧れの先輩からの“金言”に「自分も1日1日、悔いなく過ごしていきたいと思います」と決意を固めて仙台入りした。

 受け身にならず、積極的な姿勢や貪欲に学ぶ姿勢は、プロで生きる上で必要な要素だ。「そこは苦労しないと思います。明るくて前向きなところがウリの子」と3年間、指導してきた庄司監督は太鼓判を押す。積極的な姿勢は帰り際にも。「サイン、書いてきていいですか?」と寒空の中で待っていたファンの元へ走った佐藤。1年後、成長した姿で菊池と自主トレができるよう、日々をしっかりと積み重ねていく。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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