雑貨屋「Papel」に行った時にたまたま寄り道して知った向かいの店。店員にアレコレ質問したら親切に答えてくれ、「同じ場所に創業時の名で今でも営業している、市内最古の肉屋」だと言って、壁に飾られた創業時の店の様子や店員の写真を見せてくれました。
住民に慕われる店
私が訪れたのは金曜日の夕方。近所のお客さんがひっきりなしにやって来て、買い物をしています。「感謝祭とクリスマスは、1年で一番の書き入れどき。だから大みそかまで働き続けるのさ」と言うのは、3代目店主の息子ジョン・ジュニア・マックファデン。
もともとこの店は1917年にジョン・スタウビッツが創業し、15年後にマーティン・ランが後を継ぎ、67年にジョン・ジュニアの父親が買い取りました。現在82歳になる父親は昨年まで週6日、1日10時間も働いていましたが、1年前に転倒し車イス生活に。それ以来、息子のジョン・ジュニアが中心になって店を運営しています。
ジョン・ジュニアは12歳のときから配達、掃除要員として店で働いてきました。包丁の持ち方、研ぎ方、肉に関することはすべて父親が教えてくれたそう。同店は「すべてブッチャー(肉屋の職人)によるハンドセレクト」がモットーです。
薄切り肉や豚足も
店で取り扱っているのは、ビーフ、鳥肉類(鶏・七面鳥など)、ポーク、ラム、ゲイム(ジビエ)で、上質のものだけをセレクトしています。
例えば、ビーフは20%がグラスフェッドで、ホルモンやステロイド、抗生物質などを使っていない自然のもの。供給業者は、遠くはニュージーランドから国内の中西部、南部など。中には、ブルックリンの有名ステーキ店「Peter Luger」と同じ供給元から仕入れている肉もあります。牧草牛のひき肉は1ポンド9ドル99セント。日本人になじみのあるしゃぶしゃぶ用の薄切り肉、各種ホルモン類、豚足、ボーンブロス用の骨なども購入できます(一部要予約)。
ジョン・ジュニアはじめ、ここで働いているスタッフは皆勤続20年、32年などのプロばかり。アットホームなお店です。
All Photos: © Kasumi Abe