【MLB】オリ、マ軍の元同僚・長谷川氏が語るイチローの素顔 「今では彼がロールモデル」

マリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

マリナーズはイチローをリスペクト「ケン・グリフィーJrのレベル」

 マリナーズのイチロー外野手は昨シーズン、5月にメジャー選手登録から外れ、会長付き特別補佐に就任してチームのサポートを続けた。しかし、今年3月に東京ドームで行われる開幕戦では選手として“復帰”する見込み。オリックス、マリナーズで同僚だった長谷川滋利氏がイチローの“素顔”について語ってくれた。

 昨季は開幕スタメンを勝ち取ったが、15試合の出場で打率.205に終わったイチロー。新シーズンでは再び選手として開幕ゲームを目指していくことになる。長谷川氏は今シーズン、イチローが残した成績に落胆することなかった。

「今年1年間はイチローらしいプレーを見せてくれるでしょう。やると思いますよ。去年は外野手も多かったし、契約するまで時間がかかった。なにより痛かったのはキャンプ中のケガでしょう。イチローだって生身の人間です。開幕まで時間がない中で早く仕上げないといけないと感じる部分もあったと思います」

 5月にはメジャー選手登録から外れ、会長付き特別補佐に就任した。マリナーズが用意したポストにはどのような意味があったのか。

「マリナーズはイチローに対して敬意を持っている。シーズン途中からプレーできなくなったが、会長付き特別補佐という肩書も用意してまでもチームに残ってほしかった。『マイナーでやってくれ』と言うのは失礼ですから。アメリカの彼に対するリスペクトは本当に凄いです。昔でいうケン・グリフィー・ジュニアのレベルです」

 選手としてプレーはできなったが、試合に帯同してチームメートと練習は続ける姿があった。イチローが見据える先にあるものとは、一体何なのだろうか。

「シーズン中も試合に帯同して練習しているということは、3月の開幕に合わせているということです。準備期間は去年の春と比べれば雲泥の差。レギュラーとして1年フルでやることは厳しいかもしれませんが、準レギュラーとしてのポジションならある程度の成績を残すことは可能だと思っています」

オリックス、マリナーズでイチローと同僚だった長谷川滋利氏【写真:本人提供】

イチローは“レジェンド”を見てレジェンドになった「今では彼がロールモデル」

 ベンチでは選手たちと談笑したり、全ての試合前に一人一人と身振り手振りでオーバーなアクションを見せ、鼓舞する“意外”な姿を見せたイチロー。だが、それが本来の姿だと長谷川氏は語る。

「あれが本来のイチローのキャラですよ。孤高の存在と思われがちですが、僕と一緒のマリナーズ時代でもよくジョークを言って楽しませていました。ヒップホップが好きで、ダンスだって上手ですよ。日本のお笑いだって大好きでダウンタウンのDVDはよく見ていましたね。笑いのセンスはめちゃくちゃ持っていると思います」

 若手選手と積極的にコミュニケーションをとる姿は後輩たちに何かを伝えるためのメッセージなのか。メジャーリーグの世界では“レジェンド”たちが受け継いでいく伝統が存在するという。

「僕の1年目にはエディー・マレーというレジェンドがいました。メジャーリーグは色々な人種が集まってます。日本人だから、ラテン系だから、アメリカ人だから、とか関係なく、伝統が繰り返し下の世代に引き継いでいく。イチローだって身をもってその伝統を感じていたでしょう。今では彼がそのレジェントとしてロールモデルとなっています」

 昨季は大谷翔平が二刀流を成功させメジャーリーグを沸かせた。イチローの後を追う存在になる可能性を秘めた若きスター候補にも長谷川氏は注目している。

「イチロー選手はいつ引退しようと、すでにレジェンドの名声を得ている。おそらくメジャーの殿堂入りも果たすでしょう。大谷選手もその後を追う選手になる素質を十分に持っている選手です。怪我なくイチロー選手のように長きに渡ってプレーしてくれれば次のイチロー選手になるはず。ただ、そのためにイチロー選手が現役の間に何かヒントを得てほしいですね」(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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