集落再生へ、工事本格化 熊本県西原村の宅地復旧事業  仮設住民「待ち長かった」

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工事業者を交えた古閑地区住民との第1回打ち合わせ。宅地復旧事業の今後の予定について意見を交わした=西原村
宅地の復旧が進む大切畑地区

 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県西原村で、宅地復旧事業が本格化する。先行して工事が始まった大切畑地区に続いて、残る5集落の入札もほぼ終了し、今月から順次着工する。古閑地区はその第1弾となる27日に起工式が決まり、自宅を離れて仮設住宅などで暮らす住民から「待ち長かった」と喜びの声が上がっている。

 「自宅再建が決まっている所から工事を早くやってもらいたい」「防災用に街灯を増やした方がいい」。昨年12月初旬、古閑公民館であった工事業者との初顔合わせでは、住民から次々と要望が寄せられた。

 古閑集落復興委員会の竹口幸宏委員長(60)は終了後、「一日でも早く帰りたいというのが、みんなの願い。宅地の整備が終わらないと、自宅を建てることはできない。工事が始まるというだけで、光が見えてきたなと感じる」と話した。

 村は、特に被害が大きかった大切畑、古閑、畑[はた]・風当[かざあて]、下小森、上布田、下布田の6集落で、国の補助事業を活用した宅地整備事業を計画。総事業費65億3700万円をかけ、全額公費(国、県、村)で工事を進める。地盤強化によって被災宅地を耐震化し、壊れた擁壁や道路を復旧する。

 古閑地区の場合、2017年9月に村に提出した集落再生計画に基づき、全長約300メートルの道路も整備する。このため、宅地の区画も見直し、工事完了後は、新たな区画に基づいて29世帯(107人)の半数程度が戻る見込みだ。公園の遊具も被災したため、子どもたちの投票で新たに購入する遊具を決めた。

 昨年4月に着工した大切畑地区では、既に地盤強化の基礎工事が終了し、擁壁の復旧工事が進む。着工後間もなく、試験的に使用した地盤強化用セメントによって、有害な六価クロムが環境基準を上回って発生するなどのトラブルに見舞われたが、すぐに対策を講じた。

 全集落の工事が終わるのは2019年度末の予定。村震災復興推進課の吉井誠係長(49)は「仮設住宅に住む人たちを早く自宅に帰していきたい。地区によっては新たな道路の整備計画もあり、地震前より安全で安心な集落を目指したい」と話している。(田端美華)

(2019年1月11日付 熊本日日新聞朝刊掲載)