みんなに笑顔を届けたい〜天応で希望の光を灯すクリスマスイベント開催

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被災地が初めて迎えるクリスマス

12月24日。広島県呉市で被災地支援のクリスマスイベントが開催されると聞き、天応を訪れた。

会場はJR天応駅から徒歩9分ほどの、広島呉道路すぐそばの広場。
ここには元々住宅があったそうだが、豪雨災害で大きな被害を受けため解体され、更地となっていたのを今回、家主のご厚意でイベント会場として利用させてもらうことになったという。

災害直後のイベント会場の写真(画像提供:コミサポひろしま)

2018年8月26日に撮影した天応町。広島呉道路高架の向こう左手が、今回イベントが行われた場所。取材で初めて天応を訪れたのは災害から1ヶ月半ほど経った8月26日のことだった。
その時はまだ、土砂が流れ込んだ川沿いの住宅はほぼ手付かずのままで、道路の脇には鉄の塊と化した車が何台もあった。

あれから4ヶ月、住宅や道路に高く積もっていた土砂はほとんど除去され、土嚢が積み上げられていた広島呉道路の高架下は公園としての本来の表情を取り戻していた。

今も活動を続ける「コミサポひろしま」がイベントを企画

『クリスマスイベント〜復興を願う会in天応〜』を企画したのは、災害直後から呉市の被災地で活動を続けるプロのボランティア組織『コミサポひろしま』のメンバー。
会場には大きなステージが設けられ、バルーンアートショーやライブも行われた。

ステージを笑顔で見守る溢れんばかりの人。数ヶ月前には想像もできなかった光景だ。
たくさんの机や椅子、テントの手配には、コミサポひろしまのメンバー、地元の市議会議員などが奔走した。

県内外から集まる応援団と支援

コミサポひろしまは、2014年8月20日発生した「広島土砂災害」を契機に立ち上がったボランティア組織だ。
代表の小玉幸浩さん(写真右)を中心に、関東・東北豪雨(2015年)、熊本地震(2016年)、九州北部豪雨(2017年)など、全国の被災地に駆けつけては活動を続けてきた。

西日本豪雨災害ではそんな小玉さんを慕って、今も全国から呉市へボランティアが駆けつけ、土砂かき出しなどの作業を手伝ってくれている。
今回の会場設営も遠方から駆けつけた有志、地元の方など総勢30名ほどが集まって準備したという。

紹介記事;被災住民の苦闘が続く呉市天応で活動を続けるボランティアのプロ集団『コミサポひろしま』

わたがしのブースは広島県福山市のボランティア組織『てごうし隊』が、たこ焼きのブースは大阪から駆けつけた『生協パルコープおおさか』が運営。全て無料で振る舞われた。

コミサポひろしまはガーリックライスを提供。
300食分を用意していたそうだが、開始から1時間で材料がなくなりそうなほどの人気だった。

わなげやボールすくい、風船つりなどのブースも子ども達の行列が絶えることはなかった。
このゲームでもらえる景品も、コミサポひろしまの活動を支援する団体・個人から提供されたものだという。

会場の一画で子どもの人だかりを発見。輪の中心にいたのは呉市在住の金子健太郎さん。
「呉はけん玉発祥の地。けん玉でみんなを元気にしたい」とたくさんのけん玉を持参して参加していた。

静岡から来たという『清水災害ボランティアネットワーク』の皆さんは、足湯をしながら傾聴ボランティアを行っていた。
この前日に天応の避難所で足湯の傾聴ボランティアを行った際に、偶然このイベントを紹介されての飛び入り参加だったという。

本当の支援は「これからが本番」

カープの服を着て子ども達と談笑しているのは名古屋から駆けつけた杉下さん。
実は8月26日に天応を取材した時に、作業中の杉下さんに一度お会いしている。
現在もほぼ毎月、仕事が休みの時に現場に駆けつけては土砂撤去作業を手伝っているそうだ。
今回は前日から呉に入り、会場設営も手伝った。

災害から6ヶ月。「(現場の)変化を感じますか?」と聞くと、
「変わったねえ。でもこれからよ。災害直後は復旧活動に入る人も多くてどこか興奮状態というか、でも落ち着いてくると人も減って、祭りの後の静けさというかね、急に寂しくなったり落ち込んでしまう人が増えるよね。だから1日でも、こうして楽しいイベントをして、笑顔になれる時を作るのは大事よね」

8月26日にお会いした時も「こんな時だから笑顔が必要なんよ」と冗談で周囲を和ませながら作業をしていた。被災地での取材を続ける中で、心に染みた言葉の一つだ。

「みんなが来てくれて嬉しい。ただそれだけ」

イベントの最後はビンゴゲーム。
ビンゴカードは会場にいる人になるべく行き渡るよう、スタッフが手配りする姿も見られた。
用意していたビンゴカード540枚はすぐ無くなり、急遽買い足した。

景品はエアコンや毛布、商品券、子ども達のおもちゃなど。これらも全てコミサポひろしまを支援する団体や個人から寄付・提供されたもの。
目玉の一つだった「沖縄ペア旅行」は、コミサポひろしまがボランティアで土砂撤去を行ったお宅の住民の方に当たったようだ。

会場入り口付近に掲げられていた、天応の子ども達の寄せ書きフラッグを発案したのは、小玉さんとともに今も土砂撤去などの作業を続け、このイベント開催も中心となって動いた森岡章(あきら)さんだった。

「大盛況ですね」と声をかけると、森岡さんの目に一気に涙が溢れた。

「嬉しいですね。みんな来てくれて。何も言うことないっす」

災害直後から被災地と被災者の苦悩と直面しながらボランティア作業を続けて来た。
「1日だけでも災害のことを忘れて楽しんでほしい」と、仲間と時に意見をぶつけ合いながらこの日の準備を進めてきた。
だからこそ、集まった人々の笑顔に万感の想いが込み上げる。

イベントが終われば、また土砂出しの作業の毎日に戻る。
作業をしていると通りすがりの人々が「いつもありがとう」と声をかけてくれるそうだ。

被災地で暮らす人々にとっては、災害後どれだけの日にちが過ぎようとも、毎日来て作業を続けてくれる彼らの存在こそ、希望の光であるに違いない。

 

<関連サイト>
コミサポひろしま公式サイト
コミサポひろしまFacebook

いまできること取材班
文・写真 イソナガアキコ