伊藤沙莉が“10分”で人生を切り取るドラマで全身真っ黒に!? 千葉雄大が“生きづらさ”を好演

伊藤沙莉が“10分”で人生を切り取るドラマで全身真っ黒に!? 千葉雄大が“生きづらさ”を好演

2017年の末に10分の短編ドラマをテーマに放送され、NHKらしさを残しつつも、少しNHKらしからぬドラマとして話題を集めた「ちょいドラ」(NHK総合)の第2弾が、本日1月12日午後11時30分から放送されます。第2弾の共通テーマは「◯◯な女」。「ダークマターな女」「尽くす女」「斬る女」の全3作品です。ドラマ制作部だけでなく、「ダークマターな女」は教育番組部が、「尽くす女」は文化・福祉番組部が制作に携わり、それぞれ番組の要素が満載! 試写会にお邪魔した記者が、各作品の見どころと、試写会に登壇された伊藤沙莉さん、千葉雄大さんの声をお届けします!

1作目は伊藤さんが出演される「ダークマターな女」。最近さまざまなドラマに出演され、多様な役を演じる伊藤さんですが、なんと今作では全身を真っ黒に塗って登場! CGとかではなく、本当に真っ黒に塗料で“塗られて”いました…。というのも今作は、伊藤さん演じる日本人宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから地球に帰還すると、宇宙に存在するといわれる“謎の暗黒物質”ダークマターになってしまっているというお話なのです。とはいえ、いつもかわいらしい伊藤さんがあまりに予想外の姿になっていて思わず記者も目がまん丸に…(笑)。そして驚きの感情をを引っ込める間もなく、テンポよくシュールなSFコメディー展開が繰り広げられ、あっという間に10分が終わってしまいました。

試写会後に登壇された“普段の姿”の伊藤さん(ドラマではほぼずっと真っ黒だったのでお顔が見えて安心しました)は「丸1日ずっと真っ黒だったので不自由でした(笑)。あんなに全身真っ黒にしたのは初めてでしたね」と笑いを交えつつ、「主人公はダークマターという物質に憧れているのですが、好きだったものが自分を侵食していく感じだったりとか、それが解けていく時はどんな気持ちなのかを、黒で表現して皆さんに伝わればいいなと思いました」とコメディー要素に込められている思いを教えてくださいました。これを逃したら、こんな伊藤さんの姿を見ることはできないかもしれない貴重な1作であることに間違いありません。

2作目は千葉さんが出演される「尽くす女」。千葉さんが演じるのは、妻子をもつ性同一性障害の男性です。ある日、妻に離婚したいと言われたことが原因で、心理カウンセラー(優香)の元に訪れることに。「あなたはどうしたいですか?」と問いかけられ、自分自身と向き合うことになります。果たして、彼は最後にどんな決断を下すのでしょうか。多くの人が身に覚えのある「自己肯定感」を巡る悩みを繊細に描く作品です。生きづらさを抱える1人の人間が成長する姿を、丁寧に演じていた千葉さんは、「題材としては繊細に受け取られる方も多いと思うのですが、演じている方としては学生時代でも大人になってからもちょっとしたモヤモヤっとした気持ちを晴らしてくれるというか、今のままでもいいのかなとか、前に進めるような温かい作品になったと思います」と作品の魅力を教えてくださいました。

さらに、「10分ってすごく難しいなと思うのですが、だから描けるものもあるなと監督と話していて思いました。その人の人生を10分に凝縮することは難しいかもしれなけど、見せようとするのではなくて、10分で切り取った部分だけで皆さんに想像していただくこともできるのだと感じました」と10分ドラマの面白さについても語ってくれました。こちらも他作品同様10分なのですが、見終わった後、記者は「あれ? これ10分だった?」と、まるで長編の映画を見た後のような不思議な気持ちになりました。千葉さんがおっしゃったように、想像力が働いて映画のように感じたのかもしれません。自分自身の経験と重ね、そこから生まれた想像次第で、さまざまな角度から楽しめる今作品。「自分なんかが生きづらいと思う資格はないのか」と感じているすべての人を温かく応援するドラマです。

3作目は「斬る女」。「働くとは?」をテーマにしたこの作品では、注目俳優の岡山天音さんが、ピザ店で働く「僕」を演じます。「僕」はサボってばかりの先輩やクレーマーに手を焼いていますが口に出せず、そんな職場で働くことにやる気がありません。ある日、そのピザ屋に突如ふらちなやからが来店。無理難題の注文が入ります。ピザ店絶体絶命のピンチかと思いきや、「僕」が憧れている美しき同僚・鋭子(伊澤彩織)が立ち上がり、先輩やふらちなやからを次々に斬り倒していく、痛快・爽快な妄想全開アクションストーリー。岡山さんのお芝居と妄想中の心の声でコミカルに、そして伊澤さんのキレのあるアクションにより、かっこいい作品となっています。主演の岡山さんは残念ながら記者会見に来られませんでしたが、「『斬る女』は、監督が作り上げて行く世界観に僕自身が撮影中に何度も笑ってしまいました。忙しい日々の合間でも10分で笑えて、ほっと一息つける作品を皆さんに楽しんでいただきたいです」と会場にコメントを送ってくださいました。作中では、「そんなものも武器にしちゃうの!?(笑)」といったコミカルな部分から、「でもかっこいい!」と思わせるキレのあるアクションもあり、本当に盛りだくさんでした! 「僕」がピザ店の大ピンチを経てどう成長するのか。最後まで見逃せません!

さて、ここまで読んでいただいて皆さんもお分かりかもしれませんが、作品によってかなりテンションが全然違いますね(笑)。3作とも違う色と魅力を持った作品で、全部合わせて30分という時間で心がいろんなふうに動かされた証拠だと感じています。短いからこそ、想像する余白があり、楽しめる10分ドラマですが、役者さんにとっては少し難しそうなイメージがありました。そこで登壇されたお二人に、10分ドラマならではの難しさをお伺いすると、千葉さんは「メリハリ付けた方がいいのではとか、起承転結をしっかりした方がいいのではとか思っていたんですが、今回監督はそういうことをせずに流れで時間を緩やかに切り取ってくださる方だったのでそういうことは意識せずにやっていました。そして『尽くす女』に関しては長く撮ってその中から切り取るという方法だったので、その緊張感はありましたね。そのおかげで含みのある時間ができたのではないかと思いました」と実際の撮影方法を交えて答えてくださいました。伊藤さんは「10分の中で人の感情の変化を表すことはすごく難しいことだなと思ったんですけど、私もそこまで時間にとらわれずにやっていました。他の作品でもそうですが一つの時間の流れというか、人生の中の10分間に過ぎないので、その10分間がどれだけ面白くて感動的でとか、そういう見え方だったらいいなと思います。あとは、私の作品では10分間の中で科学者たちがかなりしゃべるので(笑)、面白さを保つためにそのテンポについていく緊張感はありました。でも難しいというよりは、とても楽しんで演じさせていただきました」と演じた上で大切にしている部分と今作ならではの難しさを教えてくださいました。

10分間×3の短いドラマではありますが、ニヤニヤしたり、心が温かくなったり笑ってすっきりした気分になったりと盛りだくさんの30分になっている「ちょいドラ」。10分に切り取られた3人の人生をちょっとのぞいて“心の運動”をしてみませんか?

NHK担当 A・M

【番組情報】


「ちょいドラ2019」
NHK総合
1月12日 午後11:30~深夜0:00

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