秋田県内3市で防災無線の廃止方針続々 SNSやFMで代替

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2022年11月末で廃止される横手市の防災行政無線の屋外拡声子局

 横手、大仙、北秋田の秋田県内の内陸自治体3市が防災行政無線の廃止方針を相次いで打ち出している。2022年12月に無線機器が新規格に移行して現在使っている機器が使えなくなるため、財政負担の重さから更新を断念した。防災行政無線に替わる対応としてFMラジオや緊急速報メール、会員制交流サイト(SNS)などを柔軟に活用し、非常時に備えた情報伝達の多重化を目指す。

 横手市は8地域のうち4地域で防災行政無線を運用しているが、22年11月末で全廃する。市全体で約23億円に上る整備更新費がネックになった。

 廃止後の災害時の情報発信は横手コミュニティFMの放送を中心に行う方針。FMの活用と併せ、フェイスブックやLINE(ライン)などSNSを通じて避難情報を発信する。

 大仙、北秋田両市も防災行政無線を更新しない。大仙市はヤフー(東京)と今後協定を結び、ヤフーのポータルサイトにも情報を出す。市総合防災課は「より詳細な内容を発信できる」と話す。

 防災行政無線の整備には、市町村の支出を軽くするための国の地方財政措置制度がある。しかし、「面積が広く多くの屋外拡声子局が必要な自治体は、費用が当然膨らむ」(横手市)といい、制度を活用しても負担がのしかかる。

 秋田以外の東北5県によると、防災行政無線の廃止方針を決めた市町村はまだないという。また東日本大震災の津波被災地域や秋田を含む他の沿岸部は津波防災の観点から防災行政無線を廃止せず、機器更新を進めている。

 東北総合通信局の担当者は「災害時に域内の人に確実に情報を伝えられることが重要。自治体は地域特性に応じた手段を採用してほしい」と話す。

[メモ]周波数帯を有効活用するため、無線機が発する不要波(スプリアス)を規制する新規格が2022年12月に全面施行される。旧規格の無線機は同年11月末まで使用できる。東北の227市町村で昨年7月現在、防災行政無線を運用しているのは171。