大槌旧庁舎、祈りと葛藤 大震災7年10カ月

©株式会社岩手日報社

納得できぬ思いを胸に、解体が迫る旧役場庁舎へ祈りをささげる小笠原人志さん=11日、大槌町新町

 東日本大震災の被災地は11日、7年10カ月の月命日を迎え、大槌町が解体する方針の旧役場庁舎前には冥福を祈る遺族らが訪れた。平野公三町長は同日、解体前に内部を見せてほしいと求めた町職員遺族の願いを「安全性を確保できない」として拒否。遺族や町民らは納得できぬ複雑な思いを抱えたまま、解体が迫る旧庁舎に手を合わせた。

 平野町長は、町職員の兄が行方不明となった同町上町の会社員倉堀康さん(35)に「希望に添えず申し訳ないが理解してほしい」と回答書を手渡した。

 旧庁舎内には町職員や工事、報道関係者らが立ち入っており、倉堀さんは面会後、「受け入れるしかないが、自分の目で見て感じることで最後の追悼、けじめの場にしたかった。同じ人間なのに、中に入れた人と遺族は何が違うのか」と無念に言葉を詰まらせた。

 同町新町の旧庁舎前では、震災で長女を亡くした釜石市鵜住居町の小笠原人志さん(66)がじっと向き合い、手を合わせた。昨年12月、犠牲になった町職員の死亡状況調査や、平野町長が説明するまでの解体中断を要望。町は調査すると回答したが、解体方針は崩していない。