元徴用工3人へ被爆者手帳交付 正式表明

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 韓国人元徴用工の男性3人への被爆者健康手帳交付を長崎市に命じた長崎地裁判決を受け、田上富久市長は11日、控訴せず、手帳を交付すると表明した。3人に対し「裁判で時間がかかり、申し訳なかったとの思いがある」と語る一方、今後の手帳交付を巡る審査の在り方は「変わらない」とした。

 国とも調整の上、22日の控訴期限を経て判決が確定し次第、手帳を交付する。

 手帳交付には原則、家族を除く第三者2人の証言や公的資料が必要。ない場合は本人の証言を裏付ける勤務表や文献などがあれば認めることもあるが、今回はさらに資料が乏しかった。2013年にも同様の状況で長崎地裁が韓国人への手帳交付を市に命令、市は控訴しなかった経緯がある。

 田上市長は今回の判決を受け「裁判長の判断を尊重し受け入れる」としたが、今後の審査を巡っては「さまざまな調査をして判断する姿勢はこれまでと基本的に変わらない」と語った。

 この日、市役所で記者会見した在外被爆者支援連絡会の平野伸人共同代表は、市の判断を歓迎しつつ「市の調査が十分だったか疑問は残る。本人の証言を重視し、裁判をしなくて済むようにしてほしい」と話した。

 3人は戦時中に三菱重工業長崎造船所(長崎市)に徴用され、原爆に遭ったとして手帳交付を申請したが、裏付けがないとして市に却下され、16年に提訴した。長崎地裁は今月8日、3人の証言は信用できるとして市に手帳交付を命じた。