この発想は無かった!ハイエースのピックアップ/アメリカンV8を積んだエルフ!【東京オートサロン2019】

「トヨタ ハイエース ダブルピックアップ」[オグショー(OGUshow)]

ハイエースをダブルピックアップ化。快適かつ機能的なトランポに

東京オートサロンの楽しみ方のひとつに、「そう来たか!」「その発想は無かった!」と驚かされるクルマを見られることがある。ベストセラー1BOX商用車、トヨタ ハイエースはカスタムベースとしても人気が高く、東京オートサロンでも数多くのカスタムカーが出品されるが、今回その中から「その発想は無かった!」と唸らされる一台を発見した。

それがハイエースの後半1/3の屋根を大胆に取り払ってピックアップにした、「ハイエースダブルピックアップ」だ。

ピックアップトラックは一般的に2人か横一列の3人乗りだったり、キャブが延長されていても後席が狭かったりする。だがリアドアがあって後席にもちゃんとした居住性を与えたダブルピックアップなら、後席も快適度が上がり荷物も同時に運ぶことが出来る。

でもダブルピックアップはその多くがトヨタ ハイラックスなどボンネットを持つトラック、そしてダイナなどのキャブオーバートラックがベースで、1BOXカーの後部を荷台にしたクルマは数少ない。思い出せるのはVWのタイプ2(いわゆるVWバス)の“Doppelkabine(ダブルキャブ)”、軽1BOXのダイハツ ハイゼットデッキバンなどごく一部だろう。

このカテゴリーでダブルピックアップが存在しないことに目をつけたのが、バイクをサーキットに運ぶ「トランポ」の製作で名を馳せるオグショー(OGUshow)。なんと、同社は思い切ってハイエースのボディを切ってしまったのだ!

「トヨタ ハイエース ダブルピックアップ」[オグショー(OGUshow)]

カットした箇所に新しい壁を作り、そこから後ろは荷物を積むデッキに。奥行きは最大で約1620mmあり、さらに手前に開くテールゲートを活用すれば、450ccクラスのモトクロッサーも積載が可能という高いユーティリティを誇る。しかも2列目シートはフルフラットに展開できるキャンピングカー用のリクライニングシートに換装することで、快適な空間を実現している。車内で休む機会も多いトランポには嬉しい装備だ。

構造上カットしたままではボディ強度の確保が難しいため、新しい壁に沿ってロールバーを設置したほか、デッキ部分周辺のボディに補強を与えることでそれを解決したとのことだが、開発には苦労したという。

もちろん車検対応で、新車にカスタムが施されるため購入後そのまま気にせず路上に飛び出していけるのはスゴイ。

ベースはハイエース標準ボディ、標準ルーフスーパーGLで、乗車定員は5名、登録は4ナンバーとなる。

廃車予定のエルフがまさかの大変身でV8を搭載!?

シボレー用V8エンジンを搭載するいすゞ エルフのカスタムカー(4代目・1990年式)[福島県理工専門学校]

そしてもう一台、発想の自由さに感銘したのが、自動車整備士の資格が取得できる福島県理工専門学校が出品したいすゞ エルフのアメリカンカスタム。廃車予定だった講習用の1990年式4代目エルフを活用したものだ。

キャブは4.5インチもチョップトップ化。塗装は剥離されて素地のままでヘアライン加工、その上にクリアーを吹いている。ローダウンも施されているので、見慣れたサイズのエルフよりもだいぶ低く、一瞬「これはなんだろう」という感覚さえ覚えさせるほどだ。車内もシートを張り替えてアメリカンなイメージに仕上がっている。

シボレー用V8エンジンを搭載するいすゞ エルフのカスタムカー(4代目・1990年式)[福島県理工専門学校]

なにより一番の驚きはエンジンがエルフの4気筒ディーゼルから、GM製のV8、305ci=約5リッターのスモールブロックエンジンにスワップされていることだ。ノーマルのエンジンが収まっていたエンジンベイにはV8は入りきらず、エンジンはキャビンからはみ出てベースとなったシボレー カマロ用のオートマチックトランスミッションごと搭載される。

荷台も縞鋼板で貼られ、積まれるホンダ ズーマーも徹底的にカスタムされているというこだわりようだ。

トラックをベースにしたカスタムカーは多いが、日本製のキャブオーバートラックをここまで大胆にカスタムした例はあまりないのではないかと思う。注目度は高く、多くの来場者が足を止めて見入っていたのが印象的だった。

個人的にはLEDのテールライトの配置(ブレーキ/ウインカー/バック)が、当時のエルフのテールライトと同じ順番になっていることもスゴイと思った。偶然!?

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:島村 栄二]

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