唯一の規定到達者0人は「情けない」 鷹・東浜、千賀&石川らの“虎の穴“入門へ

沖縄で自主トレを行うソフトバンク・東浜巨【写真:福谷佑介】

沖縄で行う自主トレを公開「今年はスローペースで」

 2017年に16勝をマークし、最多勝のタイトルを獲得したソフトバンクの東浜巨投手。千賀滉大投手との2本柱として期待された2018年だったが、前年から一転、苦しい1年となった。右肩の違和感を訴えて、一時戦線を離脱。復帰後は白星を積み重ねていったものの、17試合で7勝止まりに終わった。

「去年はハイペースでいって最悪の形になった。今年はスローペースで抑えながらやっています」。12日に故郷の沖縄で行っている自主トレを報道陣に公開した東浜は、こう語った。昨年は自主トレ公開の時点で、捕手を座らせた投球練習まで調整が進んでいたが、この日はバランスを確認しながら、5割程度で20球を投げただけ。「しばらく(捕手を)座らせる予定はないですね」という。

「前の年からずっとぶっ続けでやっていて仕上がったままだった」。これまではキャンプインからアピールするための早仕上げを続けてきたが、ローテを争う立場から、ローテを1年間守るべき立場になった。昨季の反省から「シーズンのことも考えないといけない。投げ込む時は投げ込みますけど、メリハリをつけていきたい。ただ投げればいいってものでもない」と、調整法を変更。3月末のシーズン開幕に照準を合わせる。

 昨季は103イニングに終わり、規定投球回には届かず。さらに、怪我人が続発したこともあって、日本一になったにもかかわらず、チーム内での規定投球回到達者はゼロだった。これは、12球団でソフトバンクだけ。大黒柱となるべき東浜も「去年、誰も規定(投球回)に乗らず、情けなかった」と悔しがる。

沖縄自主トレ後には「コウノエスポーツアカデミー」の合宿に参加

 さらに「絶対の柱はいないといけない。それがいなくても勝てているのは凄いですけど、それは中継ぎの投手や野手が凄いから。僕たちも負けていられない」とも語った東浜。今季の数字として「180イニングはいきたい。2桁の完投もいきたい」と掲げた。

 そのための試行錯誤は欠かさない。「もっと効率のいい投げ方があると思う。年を重ねれば、体のタイプも変わっていく。細かいところで変えないといけないかな、試してみようかなと思っていることはある」。沖縄自主トレ後には、千賀滉大投手や石川柊太投手、西武の榎田大樹投手、中日の吉見一起投手、ソフトボールの上野由岐子投手らも師事する鴻江寿治氏が主宰する「コウノエスポーツアカデミー」のトレーニングキャンプに初めて参加する。「シーズン中から千賀や柊太にお願いしていた」。より、自分自身の体の仕組みに合わせた投球フォームも模索する。

 昨季限りで五十嵐亮太投手や寺原隼人投手、摂津正投手らベテランが退団。摂津は現役を引退した。これまでチームを支えたベテランが去り、チームは大きな転換期を迎えている。「(摂津さんは)エースとしての理想の存在。口数は多くないですけど、背中で引っ張る人で尊敬していました。あの人がいるだけで、1本チームに筋が通るような存在感があった。そういうエースになりたいと思うし、ならないといけないと思います」と東浜は言う。

「年齢というより、先頭に立っていかないといけないというのはある。先輩たちが退いていっていますし、引き継いでいかないといけない」。目指すべきは1年間ローテを守り、そして柱と言えるだけの成績を残すこと。それを果たした時、ソフトバンクは2年ぶりリーグVと3年連続日本一に大きく近づいていることだろう。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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