福井県知事選、自民職域支部に苦悩

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今春の福井県知事選への出馬を表明している前副知事の杉本達治氏(右)、現職の西川一誠氏(左)

 今春の福井県知事選を巡り、自民党福井県連の職域支部には、県連が推薦状を交付した前副知事の杉本達治氏(56)か、現職の西川一誠氏(74)のいずれかで旗印を鮮明にした支部がある一方で、苦悩をにじませる支部もある。熟慮の末に両氏をダブルで推薦したり、まだ判断を保留しているケースがみられ、関係者からは「組織として県連の推薦決定は尊重しなければならないが、将来に遺恨を残したくない」との割り切れない思いが聞かれる。

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 両氏の後援会によると、1月12日時点で、35職域支部のうち11支部が杉本氏、18支部(2018年末に解散した1支部除く)は西川氏に推薦状を出している。単純計算で計29支部になるが、この中には両氏をダブルで推薦し、重複している支部が五つ程度含まれる。これら以外の10ほどの支部は、まだ推薦状を出していない。

 知事選などの連絡事項を確認するため、12日に福井市の県繊協ビルで開かれた県連の各支部長・幹事長会議では、職域支部の苦悩の一端があらわになった。

 山崎正昭会長の冒頭のあいさつ後は報道陣非公開で協議されたが、関係者によると、会議が終わりにさしかかったころ、ある職域支部の関係者が発言の許可を求めた。

 「どちらにも推薦状を出していない。考慮中だ」とした上でこう訴えた。「選挙そのものは否定しない。でも、幸福度日本一のこの小さな福井県で県民が割れて遺恨が残っていいのか。県民の皆さんも大変心配していると思う」

 会議終了後、この関係者は「福井県が分断されれば悲しみを生むだけだ。県民の幸せを第一に考え、できれば一本化してほしい」と語った。

 こうした複雑な心境を抱く職域支部は他にもある。会議終了後、先の支部とは別の関係者も「県連の推薦を重視しなければならないのは当然のこと。だけど、仲間の中にはさまざまな意見があってまだ決められない。今後の状況を見極めたい」と述べるにとどめ、足早に去って行った。

 両氏をダブルで推薦している職域支部も苦悩がにじむ。

 ある支部の関係者は「どちらかに肩入れするのは非常に難しい。とはいえ推薦のお願いをされたら無視できない。だから二人を推薦した」と理由を説明した。その上で「これまで西川氏にお世話になってきたし、杉本氏にも県連の推薦が出た。この難しい状況で支部を一本化するなんてできない。正直、あまり関わり合いたくない」と語った。

 苦しい胸の内を明かした後、ぽつりと漏らした。「最終的には支部としてではなく、個人の判断に任せる。それは党本部の推薦が杉本氏に決まっても変わらないと思う」

 知事選にはこのほか、県議会議員の中井玲子氏(60)が立候補を表明している。