勇壮な鯨唄と太鼓の音響く 新上五島で弁財天祭り

 かつて捕鯨で栄えた新上五島町有川郷の伝統行事、弁財天(めーざいてん)祭りが12日、同郷一帯であり、勇壮な鯨唄と太鼓の音が響いた。
 有川町郷土誌によると、江戸時代に有川湾で起きた五島藩有川と富江藩魚目の29年間にも及ぶ海境問題が由来。有川の代表者らが江戸に上り、幕府に問題解決を訴えた際、96の神仏に勝訴を祈った。中でも鎌倉の弁財天に対する信仰が厚く、ご神体を祭ったのが始まりとされる。
 午前6時ごろから、同郷の六つの地区(浜、船津、中筋、高崎、上有川、西原)の青年団員らが弁財天宮を次々に訪問。そろいの着物や法被で、鯨唄の「旦那さま」や「年の始め」を披露した。
 民家や商店も巡り家内安全などを祈願。高崎地区から参加した石田正嗣さん(32)は「楽しみながら、心を込めて太鼓をたたきたい」と話した。

勇壮な鯨唄が披露された弁財天祭り=新上五島町、弁財天宮

© 株式会社長崎新聞社