横井裕駐中国大使インタビュー「日中関係を新しい段階に」

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横井裕駐中国大使インタビュー「日中関係を新しい段階に」

横井裕駐中国大使 資料写真(東京=新華社記者/馬平)

 【新華社北京1月14日】2018年は中国の改革開放40周年に当たり、中日平和友好条約締結40周年でもあった。日本の横井裕駐中国大使はこれまで中国に6回駐在し、日本の外交関係者の中で有名な「チャイナ・スクール」(中国語研修組)の代表だ。新華網はこのほど、横井大使に対して書面インタビューを実施し、中国の改革開放の成果についてどのように評価し、中日両国の未来についてどのように見ているのかや、駐中国大使として今後の両国の交流をどのようにして促進していくのかについて話を伺った。

 -2018年は中国の改革開放40周年でした。大使が初めて中国に来られた時と比べて、実際にどのような変化を感じ、この変化が日本、アジア、世界にどのような影響を与えたと考えていますか。また、改革開放の成果をどのように評価していますか。

 「昨年は日中平和友好条約締結40周年に当たり、この40年は日本が中国の改革開放と共に歩んできた40年でもありました。初めて中国に来たのは改革開放初期の1980年、外務省の留学生として北京を訪れた時でした。当時、北京の空港から市内の中心部までの道に電灯がなく、真っ暗だったのを覚えています。その後40年間で中国は大きく変わりました。北京首都国際空港はアジア有数のハブ空港となり、道路はきれいに整備され、配車アプリを使えばすぐに迎えの車を手配することができるようになりました。

 私の中国勤務は今回で6回目で、毎回来るたびに改革開放の成果に驚かされてきましたが、今回ほど中国の発展ぶりとイノベーションのすごさを実感したことはありません。

 日中両国の関係で言えば、日本は中国の改革開放政策を1978年の開始以来一貫して支持し、ODAや民間企業の投資を通して中国の経済を支援してきました。これは、中国の経済発展が日本にとってもチャンスであり、中国の平和的発展は世界・地域の平和と安定につながるという信念に基づくものです。実際、この40年間に中国の経済発展と日本・アジア地域・世界の発展は連動し合い、貿易や投資がますます活発になってきました。

 日本は、これからも中国が改革開放により平和的に発展していくことを支持します。また、日中間の貿易・投資をさらに活発にし、自由で公正な世界の貿易を発展させていきたいと考えています」

 -2016年に大使は就任記者会見で「新しい時代にふさわしい日中関係を築いていくために全力を尽くしていきたい」とおっしゃっいましたが、大使の願いは実現しましたか。安倍晋三首相は日中協力を「新しい段階」へ推し進めると述べましたが、この「新しい段階」をどのように理解、展望していますか。

 「2016年5月に行った就任記者会見で「新しい時代にふさわしい日中関係を築いていくために全力を尽くしていきたい」と言いました。2年半を振り返ると、中国が新しい時代に入るのに合わせるかのように、日中関係も大きく改善しました。しかし、私としては現状には満足しておらず、大使館の同僚に対し、さらに積極的に両国間の懸案を解決し、協力を深化させるための取り組みを進めるよう指示しています。そうして、安倍首相が述べた通り、日中関係を新しい段階、新しい時代に押し上げていきたいと考えています。

 日中関係の『新しい段階』とは、安倍総理が提唱し、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席、李克強(り・こくきょう)国務院総理も賛同された『競争から協調へ』がキーワードになると思います。両国は今や世界第2位、第3位の経済大国となり、世界・地域の問題に大きな責任を負っています。両国が対立することは誰の利益にもならず、逆に両国の協力は世界にさらなる安定・繁栄をもたらします。今や両国は肩を並べて、地域や国際社会に一緒に貢献する時代に入りました」

 -2018年10月に安倍首相が中国を訪問しました。これは日本の首相としては7年ぶりの中国公式訪問です。今回の安倍首相の訪中の意義と成果をどのように評価しますか。

 「昨年10月の安倍総理の訪中は、ご指摘の通り日本の総理大臣の公式訪問としては7年ぶりに行われたもので、中国側の協力もあり大成功を収めることができました。

 訪中時、安倍総理は習近平国家主席および李克強国務院総理との間で、経済や海洋・安全保障、民間交流などの幅広い分野で多くの共通認識に達しました。

 特に①海上における捜索および救助についての協力に関する協定、②日中イノベーション協力対話の立ち上げに関する覚書、③日中通貨スワップ協定、④日本での人民元クリアリング銀行設置の覚書など計12本の契約書・覚書の署名が行われたことは、今後の日中協力に幅と厚みをもたせるものです。

 今回の安倍総理訪中を通し、日中の指導者間の信頼関係が一層深まりました。私も同席しましたが、安倍総理と習近平主席および李克強総理との正式な会談に加え、和やかな雰囲気の下で一連の食事会が催され、率直かつ有意義な意見交換が行われました。貴国の心温まるおもてなしに改めて感謝いたします。

 私が率いる在中国日本大使館としては、安倍総理訪中時の日中首脳間の合意を着実かつ速やかに実行に移していきたいと考えます。安倍総理が提唱した日中首脳や各レベルの往来を緊密にし、日中関係を新たな段階へと押し上げていきたいです」

 -安倍首相訪中の間、第1回第三国市場協力フォーラムが開催され、注目を集めました。第三国市場の共同開発をめぐり、両国で50項目以上の協力覚書が締結されました。これについてどのように評価しますか。

 「日中両国は双方の企業がそれぞれの強みを生かした協力を行って現地の課題を解決するプロジェクトを促進するため、先般、第1回日中第三国市場協力フォーラムを開催しました。

 同フォーラムにおいて、日本が中国と共に、開放性、透明性、経済性の原則に基づき、現地国の需要と国際スタンダードに沿ったプロジェクトを後押しし、日中両国や現地国の利益を実現し、地域と世界の発展に貢献するという強いメッセ―ジを、安倍総理から発信できたことは有意義だったと感じています。

 同フォーラムには、日中の財界トップなど千人以上が参加し、50以上の協力覚書が締結されました。締結されたのは、インフラや物流、ヘルスケア、金融など、新たな日中協力の可能性が期待される分野ばかりです。李克強総理も第三国市場協力について『必ず両国にとって実りある協力の新しい支柱となる』と述べるなど、今後の協力に期待を示しています。

 スピーチで安倍総理が述べたように、同フォーラムは新しい日中関係の幕開けとなる出発点です。両国の企業が競争するだけではなく、その力を合わせて協調することで、世界の成長の中心であるアジアのインフラ需要やその課題に応える可能性を高めていくことができます。

 今後、JETROと中国国際貿易促進委員会が企業のマッチングイベントを定期的に開催する予定だと聞いています。日中企業がこうしたイベントも活用しつつ、同フォーラムの基礎の下、日中双方にとっても、また第三国にとっても望ましい協力をしっかり進めていくことを期待しています」

 -若者は両国の未来です。両国の青年の交流をどのように促進していこうと考えていますか。

 「日中両国間には官民を通したさまざまな青少年交流のルートがあり、私も日中の若者が交流するさまざまな機会に立ち会うことがあります。昨年10月に私は日中の高校生に『皆さんの今回の出会いは、今はまだ皆さん個人のものですが、いつかそれが両国をつなぐ大きな絆となる日が来ると期待しています。若い頃に培った関係にはそういうパワーがあります』と申しました。新しい世代の交流が、日中関係のさらなる発展につながることを期待しています。

 昨年10月に安倍総理が訪中した際『日本国政府と中華人民共和国政府との間の青少年交流の強化に関する覚書』に署名し、2019年を『日中青少年交流推進年』と銘打つとともに、今後5年間で日中両国合わせて3万人の青少年交流を進めていくことで一致しました。今後はこの目標の達成に向け、既存の枠組みを活用しながら、青少年交流を推進してまいります。

 また、外務省は今年1月1日から、これまで中国教育部直属大学(75校)に所属する学部生などに対する1次ビザの申請手続きを簡素化していましたが、対象となる大学を1243校にまで拡大するなど、中国の大学生や中国からの訪日リピーターの方などに対する一層のビザ緩和を実施しています。

 その他、2020年には東京、2022年には北京でそれぞれオリンピック・パラリンピックが、また、2025年には大阪で万博が開かれるなど、交流のチャンスは続きます。こうした機会を通して、両国の人々の交流のさらなる拡大に資することを期待しています」(記者/郭丹)