変化し続ける西陣織の老舗に学ぶサステナビリティ

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「世界学生環境サミット」で、パナソニックとのコラボ事例(西陣織に触れるだけで操作できるスピーカー「織ノ響 ori-no-hibiki」)を紹介する細尾真孝氏

京都で300年続く西陣織の細尾(京都・上京区、細尾真生社長)は、着物市場の縮小に伴う低迷を経て、平成の後半に世界のトップブランドからの指名が相次ぐ工房として再起を果たした。独自の織機の開発で危機を脱した細尾はサステナビリティの象徴となり、企業や大学とのコラボも盛んだ。一例として、新築した銀座4丁目本店の内装を西陣織で飾ったミキモトは、細尾の協力で1月27日まで「日本の美しい布」展を開催している。(瀬戸内千代)

細尾は30年間で市場の9割を失い、2005年から海外に目を向けた。継ぎ目を嫌う顧客に合わせ従来の約5倍の150cm幅の織機を開発し、ここ10年で世界約100都市のクリスチャン ディオール店舗のほか、シャネルやエルメスなどの内装に採用された。

クラゲを利用した光る西陣織など、伝統工芸の可能性を国内外に発信している12代目の細尾真孝常務取締役は、「西陣織は東京遷都も乗り越え、1200年続いてきた。複雑な立体構造を織る唯一の技術があるから、前例のないオーダーにも短期で応えられる」と語る。

2012年に京都の老舗後継者たちと職人ユニット「GO ON(ゴオン)」を結成し、地場産業の活性化にも貢献している。

積水ハウスは、京都のお直し文化を反映した分譲マンション「グランドメゾン京都御池通」をゴオンとの協働で2016年に完成させた。

パナソニックは、ゴオンの職人技を家電開発に生かし、2018年4月には、家電デザイン拠点を京都の「Panasonic Design Kyoto」に移した。

同志社大学が2018年8月に主催した「第10回 世界学生環境サミット」では、学生実行委員会が細尾氏に講演を依頼した。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)のディレクターズフェローでもある細尾氏は、西陣織に異素材を織り込み色や形を制御する実験など「先人の知恵を未来につなぐ」研究を紹介。16カ国20大学の学生約100人が熱心に聴き入った。

ミキモトが銀座4丁目本店で開催中の展示は、細尾の職人が張った9000本の絹糸に、日本各地の染織産地の写真が映し出されるインスタレーションが目玉だ。入場は無料、会期は1月27日まで。