火災警報器の設置向上策は 16日に緊急会議、小野の住宅火災教訓

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 小野町で一家7人が亡くなった住宅火災から21日で2カ月となる。平成以降、最悪の犠牲者を出した建物火災は、県内で設置率が低い住宅用火災警報器の必要性を浮き彫りにした。

 県や消防は、16日に警報器の設置促進に向けた緊急会議を開くことを決定。設置費用助成には対象範囲や財政などの課題もある。悲劇を教訓に警報器の設置率向上を図る具体策を打ち出せるかが焦点となる。

 県によると、昨年1年間の火災は629件で前年より32件増加。死者数は42人で前年を4人上回った。警報器は2006(平成18)年に新築住宅、11年6月から全ての住宅で設置が義務付けられたが、県内の設置率は74.6%で全国ワースト5位に低迷。県消防保安課は「自分は大丈夫だろうという意識があるのではないか」と推察する。

 消防は、警報器の設置で逃げ遅れを減らせるだけではなく、近隣住民や通行人に異常を知らせる効果もあると指摘。小野町の火災では警報器が設置されておらず、多くの犠牲者が出た一因になったとみられる。

 高齢化が進み早期避難が重要になる中、福島市消防本部の阿蘇武消防長は「どう火災を防ぐことができるか、自分に置き換えて命を守る行動をしてほしい」と警鐘を鳴らす。◆波及は不透明 「人が亡くなる火災が二度と起きないようにしたい」。火災を受け小野町は、警報器未設置世帯への設置費用の助成を決定した。

 助成は町内の個人住宅が対象。要支援者がいる世帯や生活保護受給などの非課税世帯には無償で配布する。その他の未設置世帯には単独型、複数の警報器で警報音が鳴る「連動型」とともに費用の半分を助成する。

 制度創設に至る経緯では、設置済み世帯との「不公平感」の解消が町議会で議論となった。機器の更新についても補助する内容を盛り込み、可決にこぎ着けた。

 未設置世帯だけではなく更新費用の助成にも踏み込んだ先進的な取り組みだが、他の自治体に波及するかは不透明だ。「財政的な負担はどうしても避けられない」。町の担当者は、自治体が主体となる警報器の普及促進の難しさを吐露する。◆有効な施策模索 県も消防行政を担う市町村の取り組みを支援する考えだが、設置率を向上させる有効な施策は模索が続く。設置費用の助成も「一つの方策として有効」(県消防保安課)としつつ、全県に広げるための市町村への財政支援については、設置済み世帯との不公平感解消など難しい部分もある。

 このため県や消防は16日に緊急会議を開き、警報器の設置促進に向けた各消防本部の取り組みを確認し、好事例を水平展開させる狙いだ。また、住民への周知方法など設置が進まない課題を洗い出し、効果的な広報についても検討する。

 県によると、都道府県別で設置率が最も高い95.1%の福井県では、消防本部や消防団が全戸訪問して未設置世帯を把握し、集中的に設置を進めていることが奏功しているという。人海戦術が結果を出している一例だ。

 県内では小野町の火災以降も火災による死者が相次ぐ。警報器の設置促進を軸とした被害防止をどう図るか。関係者の知恵と工夫を結集した対策が求められている。