【CRI時評】世銀はキム総裁退任後も「米国優先」は依然困難

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 世界銀行のジム・ヨン・キム総裁が2019年の出勤初日に退任を発表し、国際世論は騒然となった。突然の出来事に加えて、この変化は谷に落ちた多国間主義に別の影を落とした。キム総裁はなぜ退任するのか。この決定は国際社会にどのような影響を及ぼすのか。後任は世銀に「米国優先」をもたらすのか。

 キム総裁は声明で、2月1日の退任後、発展途上国のインフラ投資の関連企業に参加すること、学術研究活動を開始する準備をすることを表明した。キム総裁は退任理由について詳しく説明していない。だが、この出来事を米国の現政権に結び付け、米政権がキム総裁に離職するよう圧力をかけたとする見方が一般的だ。

 米国の現政権が誕生後に一国主義的行動を取り、炭鉱生産の回復を推し進め、気候変動に懐疑的であるのに対し、キム総裁はグローバル化を支持し、クリーンエネルギーを提唱し、環境問題に関心を寄せ、キム総裁率いる世銀は基本的にもはや、石炭発電のための資金援助を提供していない。キム総裁の2012年の1期目の開始と2017年の再任はいずれもオバマ政権による指名と支持の下で実現した。キム総裁は就任後、世銀の人事改革を実行し、多くの矛盾が蓄積した。

 キム総裁は就任以来、中国を含む発展途上国を支援してきた。途上国が提案した世界貿易機関(WTO)改革案に賛同し、多国間自由貿易を支持し、途上国への援助提供を続けてきた。キム総裁は2014年から繰り返し公の場でアジアインフラ投資銀行(AIIB)やBRICS新開発銀行の設立、「一帯一路」イニシアティブの実施への支持を表明してきた。キム総裁はかつて、世界のインフラ投資の需要は1兆5000億ドル近くある一方で、世界の多国間開発銀行と民間投資家は約2050億ドルの融資しか提供できず、AIIBの設立は現在のインフラ投資不足を解決するのに役立つと指摘した。キム総裁はメディアのインタビューで、中国の貧困減少事業における成果を大いに称賛した。

 キム総裁の強力な推進の下、2018年に世銀は史上最大規模の増資と資本金再編協定を可決し、世銀の核心的組織である国際復興開発銀行(IBRD)における中国の資本金比率は4.68%から6.01%に、議決権配分は4.45%から5.71%にそれぞれ上昇し、2位の日本との差はさらに縮まった。

 キム総裁が在任中、中国との協力拡大を積極的に推進してきたことを考えると、その突然の退任は間違いなく中国に相当な打撃となるだろう。だが、世銀という多極化組織において、誰が新総裁になろうと、中国が協力における増量であるという点は無視できないものだ。

 世銀が第二次世界大戦末期に設立して以来、総裁は常に米国人が務め、しかも総裁はすべて時の米国大統領によって指名されることが不成文の慣例となっている。同時に、米国は世銀に対する最大の出資国であり、「一票の否決権」を持つ。長年に渡り、世銀総裁の人選問題は高度に政治化されてきた。だが、人々が期待するのは、世銀のより民主的なプロセスを目にすることだ。

 米国が指名する世銀の新総裁候補者は必ず他の主要エコノミーの審査を受けることになるだろう。もし米政権が人選において明確に「米国優先」の旗印を掲げるなら、同盟国を含む他の世銀加盟国の反対に遭うことになるだろう。(CRI特約論説員:上海国際問題研究院副研究員 葉玉)