共演者「言葉が見つからない」 女優 市原悦子さん死去

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女優魂を貫き続けた、市原悦子さん(82)の突然の訃報。
共演者の間に惜しむ声が広がっている。

2015年6月 市原悦子さん
「自分と離れた役は、非常に興味を持ちますね。なぜって、そういう人の世界がわからないから。犯罪者とかね、そういうのは非常に興味を持って理解しようとする、それが楽しい」
「優しさとか強さとか、(自分に)ないモノを演じることによって、そのエキスが少し入ってくる、自分の中に。それが女優の、役者の特権というか喜び」

穏やかな語り口と個性的な演技で、人々を魅了してきた女優の市原悦子さんが12日、心不全のため亡くなった。
82歳だった。

家政婦として出向いた家庭の秘密を知る役柄を演じたドラマ「家政婦は見た!」。

物陰から、じーっとのぞき見る演技で人気となり、シリーズは、代表作の1つとなった。

そして、1975年から始まった「まんが日本昔ばなし」では、ナレーションなどを担当。

柔らかな特徴的な声で物語を伝え、市原さんを語るうえで欠かせない作品に。

2005年5月6日 市原悦子さん
「顔が出ないと、イメージが聞く人に、非常に雄大に美しく伝わりますからね。この顔が出たら、やはり、1つの限界がありますものね」
「だから声だけの出演っていうのは、すごく夢を与えるし、不思議な世界に行けますよね」

1990年、54歳の時に、今村昌平監督の「黒い雨」で、日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞。

演劇やドラマへの多大な貢献が評価され、脚本家・橋田壽賀子さんの名を冠した「橋田賞」の特別賞も贈られた。

2012年 市原悦子さん
「特別賞という特別な賞をいただいたのは、初めてです。何が特別なのかな、どこが特別なのかなと考えましたけど、思い当たりませんでした。ただ、長く役者の仕事を続けてきたのは確かです。そのことに対して、慰労と励ましをいただいたのかと思って、とても喜んで頂戴いたしました。ありがとうございます」

1994年から2017年まで、20年以上にわたってシリーズ化された人気刑事ドラマ「おばさんデカ 桜乙女の事件帖」。

主演の市原さんの相棒を演じた布川敏和さん(53)は14日朝、「とくダネ!」に出演し、振り返った。

布川敏和さん
「『ふっくん、最初はどのシーンから撮るの?』と聞くんですね。最初はこういうシーンで」
「『それは、わたしたちは犯人とわかっていていいシーンかしら?』って聞くんですよ。全て把握してるんですけど、僕がちゃんと把握しているかどうか、確認のために聞かれるんですね。だから、共演して16作くらいシリーズでやったんですが、すごく緊張感がある現場でした」

2015年に公開された映画「あん」では、2018年9月に他界した樹木希林さんの強い希望で、共演が実現。

共に出演した永瀬正敏さん(52)は、「今は言葉が見つかりません」と、市原さんとの別れを惜しんだ。

そして、2017年に出演した映画「しゃぼん玉」が、市原さんの遺作となった。

2016年に大ヒットした新海誠監督のアニメ「君の名は。」では、主人公の祖母役を演じた市原さん。

主人公の声優を務めた上白石萌音さん(20)
「小さいころから『日本昔ばなし』が大好きで、市原さんのお声に育てていただきました。『君の名は。』で、その柔らかなお声とお人柄を肌で感じながらお芝居をさせていただいた時間は、生涯忘れることのできない宝物です」

1997年公開の映画「うなぎ」で共演した役所広司さん(63)は...。

役所広司さん
「愛きょうがあり、迫力があり、誰にもまねできない強烈な個性を持った素晴らしい女優さんでした。『うなぎ』の時の市原さんの狂気の芝居に、現場で圧倒されたことを覚えています」

そして、NHKの大河ドラマ「秀吉」で、市原さんと親子役を演じた竹中直人さん(62)。

竹中直人さん
「市原さんの深い愛を持った声の音色は、あのころの僕に勇気と力を与えてくれました。そして、今も僕の耳に深く残っています...」

2012年には、S状結腸腫瘍で入院するなど、晩年は病との闘いだった市原さん。

2015年には、声に不調を感じるようになったという。

2015年 市原悦子さん
「ガサガサなのね、声がね。このころね、すごくガサついているしね、声も出ない。前は、始まる前に一生懸命発声練習したり、神経使ったりね。今回の稽古はまあ、ずうずうしくね、全然声が出なくても、知らんぷりして歌っている。“気持ち”ですね」

翌2016年には、手足のしびれなど体調不良を訴え、入院。

重症化すると、人工呼吸器が必要になることもある「自己免疫性脊髄炎」と診断され、芸能活動を休止。
リハビリを続け、仕事復帰したものの、2018年12月には盲腸で入院することに。

順調に回復し、12月30日には、一時退院。

年末年始は自宅で過ごしていたが、再び体調を崩し、2019年1月5日に再入院。

容体が急変し、帰らぬ人となった。

市原さんの通夜は、今週木曜日の17日、告別式は金曜日の18日に営まれる。