新元号に「大きな混乱ない」 長崎県内自治体や金融機関

 5月1日の皇太子さまの新天皇即位に伴って改める新元号が1カ月前の4月1日に公表されることが決まり、長崎県内の自治体や金融機関などは新元号に対応できるようシステム改修などを進めている。公表から改元まで1カ月の準備期間が確保されたことで大きな混乱はなさそうだが、システムエラーを懸念する声も聞かれた。
 「自動車税や不動産取得税などの納税通知書は4月中は『平成』で表記して発行し、5月からは新元号で発行できるようシステム改修を進めている。対応は可能だ」。県税務課の担当者は安心したように話す。
 県情報政策課によると、新元号に向けた準備は2017年度から進めてきた。同課の管理分だけでも電子決裁や職員給与など約100のシステムがある。「仮の元号」を表示できるかテストを重ねており、新元号が公表されたら改めて確認するという。
 各市町は新元号公表後、「平成」のゴム印や住民票などの申請書の作り替えなどにも取り組む。改元まで1カ月あるため「大きな混乱はないだろう」「余裕を持って対応できる」との声が多く聞かれたが、「1カ月は正直短いが、対応が増えたとしても間に合わせるしかない」との意見もあった。
 佐世保市大宮町の印章業、都知木(とちき)孝明さん(69)は、昭和天皇逝去の翌日に「平成」になった時、受注が殺到したゴム印をいくつも徹夜で作った。配達をする間もなく、取りに来てもらったという。今回は「1カ月あるので助かる。材料を早めに仕入れたい。5月1日は混乱はないだろうが、念のため店を開けて対応しようと思う」と話す。
 壱岐市郷ノ浦町の松原印刷は改元に備え、顧客が「平成」と書かれた請求書などの在庫を抱えないよう「印刷物に元号を入れないで」と促してきた。「大量廃棄はないと思う」と言う。
 十八銀行(長崎市)も「改元は以前から分かっていたので、システムの対応は十分間に合う」とする。ただ、取引先のシステムが新元号に対応していない場合、エラーが出る恐れがあり、それを最も懸念しているという。担当者は「現在使っている会計ソフトが改元時にどうなるのか、取引先に注意喚起を始めた」と話した。

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